第1シーズン全10話から、スコット自身が最初の2話を監督したHBO Max OriginalのSFシリーズ。配信作品だが、映像ソフト化されているのがありがたい。スタッフも劇映画のスコット組を総動員していて、この2つのエピソードに関しては、他のスコット作品と同等に扱っていいのかも。 ただ、長いシリーズの一部なので、エピソードごとに話が完結しているわけではないし、抑制の効いた、淡々とした語り口にも感じられる。少なくとも、TVのアクション物に典型的な、次から次に事件が起きてめまぐるしく展開する感じはなく、落ち着いた静謐なタッチ。 とはいえ、スコット作品ならではの美しく驚異的なヴィジュアルや、意表を衝いた描写も随所にあり。不穏な雰囲気が漂っていて緊張度も高いし、凄惨な大量殺人はスコットらしく地獄絵図の様相。第2話の導入部は一種の戦争物で、『ブラックホーク・ダウン』を想起させもする。 未来SFらしい不気味なクリーチャーも登場するが、『エイリアン』を彷彿させる、爬虫類と深海魚を融合させたようなおぞましいモンスターは、シーズン後半まで出てこない。ちなみにそのエピソードを含めた3話分をスコットの次男ルークが監督している他、このシーズンでは、スピルバーグ作品の助監督とプロデューサーを多数手掛けたセルジオ・ミミカ=ゲザンが2話分監督している。 ちなみにこのシリーズ、第3話以降からストーリーがグダグダに崩れてゆくという点で、大手サイトの利用者レビューの見解が一致している。私は大抵こういうレビューと感覚が合わないので、自分の知らない情報を探す目的でしか目を通す事はないが、ここまで意見が一致しているのは珍しいかもしれない。 「第2シーズン以降はもう観ない」と宣言しているレビュアーも複数いるが、スコットもプロデューサーとして全体に関わっている上、全エピソードのストーリーボードを自ら書いたとも言っている。そうなるとエピソード監督が誰であれ、ストーリー展開やシーンの構成はスコットの構想通りという事になり、彼の責任は大きいのではないか。 |