『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』 シーズン1

         〜第1話『オオカミに育てられて』、第2話『ペンタグラム』

Raised By Wolves 1st Season:Episode1“Raised By Wolves”, Episode2“Pentagram”

2020年、アメリカ (53分/41分)  *配信

 監督:リドリー・スコット

 製作総指揮:マーク・ハッファム、デヴィッド・W・ザッカー

       リドリー・スコット、アダム・ユルブレンナー

       ジョーダン・シーハン、アーロン・グジコウスキ

 共同製作総指揮:ヘザー・ベルソン、カレン・キャンベル

 製作:ジョン・カイパー

 共同製作:テレサ・ケリー、シンニード・ダリー

      ドン・ジョー、カリーナ・スポサト

 ライン・プロデューサー:シェリル・イートック

 脚本:アーロン・グジコウスキ

 撮影監督:ダリウス・ウォルスキー, A.S.C.

 プロダクション・デザイナー: クリス・シーガーズ

 衣装デザイナー:ジャンティ・イェーツ

 編集:クレア・シンプソン

 音楽:ベン・フロスト、マルク・ストライテンフェルト

 ユニット・プロダクション・マネージャー:ジョン・カイパー

 第1助監督:レイモンド・カーク

 第2助監督:イザベル・マーテンス

 出演:アマンダ・コリン  アブバカル・サリム

    ウィンタ・マクグラス  トラヴィス・フィメル

 第1話:ブレット・ウィリアムズ  コートニー・マイケル

     ジョシュア・ジェームズ  ブロンテ・カーマイケル

 第2話:ニアフ・アルガー  ジョーダン・ロックラン

     フェリックス・ジェイミソン  イーサン・ハザード

     アーシャ・シャー  アイヴァー・ウォン

     ジャック・ホーキンス  シエンナ・ギルロイ

     スーザン・ダンフォード

* ストーリー

 アンドロイドのマザーとファーザーは惑星ケブラー22bに降り立ち、体外受精で産んだ6人の子供達と生活しはじめる。しかし惑星の環境は苛酷で、12年後に生き残ったのはキャンピオンただ1人だった。そこへ、生き残った唯一の人類である熱狂的なミトラ教徒の宇宙船が到着し、無神論者としてプログラミングされたマザーたちと対立する。

 マザーは圧倒的な破壊力を発揮し、ミトラ教徒らを抹殺。地球で生まれた5人の子供を誘拐し、キャンピオンと共に無心論者として育てようとするが、子供達は不信感を露にする。さらに、この惑星には生息していないと思われていた野生動物が姿を現した。

* コメント  *ネタバレ注意

 第1シーズン全10話から、スコット自身が最初の2話を監督したHBO Max OriginalのSFシリーズ。配信作品だが、映像ソフト化されているのがありがたい。スタッフも劇映画のスコット組を総動員していて、この2つのエピソードに関しては、他のスコット作品と同等に扱っていいのかも。

 ただ、長いシリーズの一部なので、エピソードごとに話が完結しているわけではないし、抑制の効いた、淡々とした語り口にも感じられる。少なくとも、TVのアクション物に典型的な、次から次に事件が起きてめまぐるしく展開する感じはなく、落ち着いた静謐なタッチ。

 とはいえ、スコット作品ならではの美しく驚異的なヴィジュアルや、意表を衝いた描写も随所にあり。不穏な雰囲気が漂っていて緊張度も高いし、凄惨な大量殺人はスコットらしく地獄絵図の様相。第2話の導入部は一種の戦争物で、『ブラックホーク・ダウン』を想起させもする。

 未来SFらしい不気味なクリーチャーも登場するが、『エイリアン』を彷彿させる、爬虫類と深海魚を融合させたようなおぞましいモンスターは、シーズン後半まで出てこない。ちなみにそのエピソードを含めた3話分をスコットの次男ルークが監督している他、このシーズンでは、スピルバーグ作品の助監督とプロデューサーを多数手掛けたセルジオ・ミミカ=ゲザンが2話分監督している。

 ちなみにこのシリーズ、第3話以降からストーリーがグダグダに崩れてゆくという点で、大手サイトの利用者レビューの見解が一致している。私は大抵こういうレビューと感覚が合わないので、自分の知らない情報を探す目的でしか目を通す事はないが、ここまで意見が一致しているのは珍しいかもしれない。

 「第2シーズン以降はもう観ない」と宣言しているレビュアーも複数いるが、スコットもプロデューサーとして全体に関わっている上、全エピソードのストーリーボードを自ら書いたとも言っている。そうなるとエピソード監督が誰であれ、ストーリー展開やシーンの構成はスコットの構想通りという事になり、彼の責任は大きいのではないか。

* スタッフ/キャスト

 メイン・スタッフは劇場映画のスコット組をそのまま踏襲したような布陣で、製作のマーク・ハッファム、テレサ・ケリー、撮影のダリウス・ウォルスキー、衣装のジャンティ・イェーツ、編集のクレア・シンプソン、音楽のマルク・ストライテンフェルトらが参加。プロダクション・デザイナーのクリス・シーガーズも、『エイリアン:コヴェナント』でスコット作品経験済み。

 脚本は『ハード・ラッシュ』『プリズナーズ』『パピヨン』の、アーロン・グジコウスキ。キャストは、他にあまり出演作の無い、無名の新進俳優が集められたようである。

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