主役のクラリスは、前作のジョディ・フォスターが「破格のギャラを提示されたが、感情移入できない役は演じられない」と降板。スコットが提案したジュリアン・ムーアにアンソニー・ホプキンスも賛同し、彼女に決まりました。インディペンデント映画から超大作までどんな役でもこなせる彼女ですから、ここでもその居方が見事。アクション演技も出来るし、前作の寡黙でストイックな雰囲気もうまく引き継いでいます。 ベテランのホプキンスは相変わらずで、監督も主演女優も交替した映画で同じ役を演じるくらいは朝飯前という感じ。1作目と較べると悪趣味な描写の多い映画ですが、力みのない自然な演技で飄々と演じているのが、逆に恐怖を煽ります。司法省のエリート、クレンドラーを憎々しく演じるのは『グッドフェローズ』のレオ・リオッタ。彼も善人や悪人を自然体で演じ分けられる才能豊かな役者さんですが、B級映画が続いてキャリアの下降を意識し、監督に直談判してゲットした役だそうで、俳優というのも大変な職業だと痛感します。 バッツィ刑事役は、『流されて…』『イノセント』等の名優ジャンカルロ・ジャンニーニ。いかにもイタリアの伊達男という感じで格好良いので、映画の中であんな事になってショッキングです。その妻を演じるフランチェスカ・ネリはスペインで活躍していましたが、本作の後『コラテラル・ダメージ』でシュワルツェネッガーとも共演。『羊たちの沈黙』からの続投キャストは、病院の雑用係バーニー役でフランキー・R・フェイゾンが出ています。 最初のアクション・シーンでは、麻薬ディーラーのイヴェルダ役で凄絶な演技を見せるのがヘイゼル・グッドマン。ワンマンショーで人気者となり、HBOのスペシャル番組でホストを務めるなどアメリカでは顔の知られた人です。ウディ・アレン監督作『地球は女で回ってる』では心優しい娼婦を演じました。FBIの捜査官ピアソルを演じるデヴィッド・アンドリュースも、『ワイアット・アープ』『アポロ13』『ファイト・クラブ』など話題作によく出ている人。 ヴァージャーの主治医コーデルを演じたジェリコ・イヴァネクは、トニー賞候補にもなっている実力派で、『白い嵐』『ブラックホーク・ダウン』にも出演。他では『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の検事役、『戦火の勇気』『フェイク』『ドッグヴィル』『マンダレイ』『アルゴ』や人気ドラマ多数に出演しています。 特殊メイクをしてメイソン・ヴァージャー役で出演しているゲイリー・オールドマンは、カメオ出演の予定だったためエンド・クレジットにしか名前がありません。結局メイキングにも出演して普通に喋っていますが、記者会見でラウレンティスがうっかり口を滑らせてしまい、激怒したという話が伝えられました。スコットの彼女だったジャニーナ・ファシオも、指紋印刷のスタッフでチョイ役出演。 |