大ヒットした前作から3年後を舞台に、ヴァイオレンス・アクションのファンの間でカルト的な人気を誇る続編。第1作と同様、シネスコ・サイズで撮影されています。主人公はずっと寡黙になり、セリフが大幅に減った一方、神話の英雄のような雰囲気が加味されました。それはラストシーンに顕著です。 モノクロのニュース・フィルム風のオープニングは、後の『ハッピー・フィート』も想起させますが、その中に第1作のダイジェストも挿入。開巻早々のカー・アクションは、セリフなしで世界観を提示するサイレント映画風の表現が圧巻。高台からコミュニティの観察を続ける場面もほぼセリフなしで、何か状況に動きがあると音楽とキャメラで表現されます。サイレント映画としても通用するほどの描写力。 ただ、ヴァイオレンス映画の割には緊迫した雰囲気がなく、むしろコメディに見えるシーンも多くて、全体に陽気です。B級ホラー映画風の安っぽいこけ脅しもあり。捕虜の処刑シーンなどは異様なセンスでコラージュされていて、音楽もシュール。日本の古い特撮ドラマみたいな、妙に時代がかったタッチも随所に感じられます。要塞を死守するというシンプルなプロット、構図や編集のタッチには、ミラーが影響を受けているという黒澤映画の雰囲気もあり。 パワー・アップしたアクションは凄絶で、またスタントマンの負傷者を複数名出していますが、ヴォリュームの面では巷に言われるほどアクション・シーンばかりという印象は受けません。むしろ、延々と監視を続ける所や、夜に要塞を抜け出すくだりなど、スタティックな場面も多い感じ。本作でも、アクションの動きが不自然に軽くなってカクカクするショットがあり、早回しは使っているようです。 本作にもキャラクターに様々なバックストーリーがあったと、俳優達が語っています。ウェズを演じたヴァーノン・ウェルズは、彼が連れている金髪の青年に関して「よく勘違いされるが、あれは両親を殺されて一人でいた少年を、ウェズが助けて養子みたいにしているんだ」との事。ちなみにヒューマンガスはウェズに「愛人を失ったんだ」と同情しているので、ボスは同性愛と解釈しているようです。 ウェルズはミラーの演出について、「カーアクションに関しては口うるさいくらい細かく指示を出していたが、本当に注意深くて、絶対に誰も怪我させないように気を付けていた。それは彼が医者だからというのもあるけれど、ジョージの頭の中には場面が完璧にプランされてるんだ。予定より少しでも早く車が通り過ぎただけで、最初から撮り直していた。それに、ハプニングが起きても修正の決定や反応がとにかく速い」と絶賛しています。 尚、本作ではワーナーの日本支社が現地取材を敢行し、日本テレビが『カースタントに賭ける男たち! V8エンジン爆走! マッドマックス2初公開』という番組を放映しましたが、これは海外のマッドマックス・ファンを騒然とさせ、「死ぬまでに絶対観たい」幻のレア映像として知られているそうです。 |