トワイライトゾーン/超次元の体験 〜 第4話

The Twilight Zone : The Movie 〜 Segment4

1983年、アメリカ (22分、映画全編で102分)

 監督:ジョージ・ミラー

 製作総指揮:フランク・マーシャル

 製作:スティーヴン・スピルバーグ、ジョン・ランディス

 共同製作:ジョン・デイヴィソン

 原作・脚本:リチャード・マシソン

 撮影監督:アレン・ダヴィオー, A.S.C. 

 プロダクション・デザイナー:ジェームズ・D・ビッセル

 衣装:デボラ・スコット、ダン・ムーア

 編集:ハワード・スミス

 音楽:ジェリー・ゴールドスミス

 プロダクション・マネージャー:デニス・E・ジョーンズ

 第1助監督:パット・キーオ

 第2助監督:ダン・アッティアス

 ロケーション・マネージャー:リチャード・ヴェイン

 キャメラ・オペレーター:ジェイミー・アンダーソン、ジョン・トール

 美術監督:ジェームス・H・スペンサー

 編集助手:スティーヴン・ケンパー

 モンスター・コンセプチュアル・デザイン:エド・ヴェロウ

 出演: ジョン・リスゴー  アビー・レイン

    ドナ・ディクソン  ジョン・デニス・ジョンストン

    チャールズ・ナップ  クリスティナ・ニグラ

    ロナ・シュワブ  エドゥアルド・フランツ

* ストーリー

 飛行機が苦手な中年男ジョン・バレンタインは、嵐の中を飛ぶ飛行機に怯えながら何とか気持ちを落ち着かせようと努力するが、ふと窓の外を見ると‥‥。

* コメント

 往年の人気テレビ番組『トワイライトゾーン』を映画でリメイクしようという、スピルバーグらしい企画。『アニマル・ハウス』『ブルース・ブラザーズ』の監督ジョン・ランディスとプロデューサーを兼任し、スピルバーグ、ランディス共に1話ずつ監督、『グレムリン』のジョー・ダンテとミラーも参加して、大変ユニークなオムニバス映画となった。

 結果から言えば、過剰なほど人工的な演出でセンチメンタルなスピルバーグ篇は大きくバランスを崩した格好で、暗いアイロニーが支配するランディス篇、徹底的に個性を発揮したダンテ篇と、職人的に腕を振るったミラー篇が圧勝という印象。

 これには、ランディス篇の撮影中に起った事故の影響がある。主演のヴィック・モローと2人のアジア人子役の上にヘリコプターが墜落し、3人が無惨な死を遂げた。製作者でもあったスピルバーグとフランク・マーシャルは責任を問われ、出頭を求められたが、外国へのロケハンなどを理由に追跡の手を交わし続け、2人とも最後まで法廷に立つ事はなかった。

 スピルバーグの態度は批判され、業界で大いに嫌われる事にもなり、仲間だったジョン・ランディスとスピルバーグの関係にも亀裂が入る。イメージ・ダウンを恐れたスピルバーグは即座に本作から手を引こうとしたものの、ワーナー・ブラザーズが契約の履行を求めたため、彼はできるだけ恐怖を感じさせない、ハートウォーミングなエピソードを監督する事に急遽変更したという。

 ミラーはクライマックスとなる第4話を監督。本来であればスピルバーグが得意としたような、サスペンス・スリラーに超自然的要素を足した挿話で、4話中で最もバランスの良い仕上がり。飛行機の中だけで展開する密室劇は、神経症的にデフォルメされた主人公の恐怖と、あくまで平静な他の乗客や乗務員との対比がサスペンスを増幅し、ミラー作品には珍しいヒッチコック的なタッチもある。

 とはいえ、かなりハードなスリラーのはずなのに、ジョン・リスゴーによるウディ・アレンばりの過剰演技のおかdげで、ほとんどドタバタ・コメディになっている辺りは、やはりミラーらしい。ポラロイド・カメラや腹話術人形など小道具を駆使する少女、仏頂面の太った男、愛想はいいがいい加減な老夫人など、周囲の乗客を怪物的に描きながら、CAや副機長ら関係者を日常的なノーマル・タッチで対比させているのもユニーク。

 たった22分の尺ながら、概してこういう「対比の手法」が激烈な効果を生んでいて、特に緩急の振幅は全く見事。主人公が錯乱する箇所は、そこが最後の山場かと思うほど画面全体が激昂するのに、その合間の会話場面は極端なほど沈静化する。人物の顔のクローズアップを多用しているのも、密室の閉所恐怖感を煽る。ジェリー・ゴールドスミスの、パワフルでインパクトの強い音楽も傑作。

 ミラー曰く、「ごく短い時間内に全てのキャラクターを動かして、ストーリーを運ばなくてはならない。だから、一切を極めて濃縮させる事になった。その結果、全ての調子が強められ、重要になってくる。主人公は、何か悪い兆しが現れるのではと伺いながらスチュワーデスの目をじっと見る。彼はただ空を飛んでいるのが恐いだけの、正気の人間なんだ。それはあなたでもあり、私でもありうる」。

* スタッフ

 映画全体のプロデューサーとしてランディスとスピルバーグ、製作総指揮をフランク・マーシャルが担当。第1助監督のパット・キーオは、『カラー・パープル』『オールウェイズ』、スピルバーグ製作の『ポルターガイスト』『インナー・スペース』も担当している人。

 原作・脚本のリチャード・マシソンは、SF/ホラー系映画で知られる小説家/脚本家で、オリジナルのテレビ・シリーズにも関わったライター。スピルバーグの出世作『激突!』の原案・脚本も執筆している。撮影監督は『E.T.』『カラー・パープル』のアレン・ダヴィオー。キャメラのオペレーターを、後にキャメロン・クロウやテレンス・マリック作品等で売れっ子の撮影監督となるジョン・トールと、ジョー・ダンテ作品のジェイミー・アンダーソンが担当している。

 プロダクション・デザインも『E.T.』のジェームズ・D・ビッセル。彼は『オールウェイズ』やフランク・マーシャルの監督デビュー作『アラクノフォビア』も手掛ける。モンスターのデザインを担当したエド・ヴェロウは、ミラーの次作『マッドマックス/サンダードーム』のヴィジュアル・デザインも担当。美術監督は『ポルターガイスト』『グレムリン』のジェームス・H・スペンサー。

 音楽は名匠ジェリー・ゴールドスミス。本作のアクション・スコアは素晴らしくスリリングで、サントラ盤のハイライトとも言える。

* キャスト

 主演のジョン・リスゴーはアクの強い風貌ゆえ悪役も多いが、ここでは恐怖に怯える男を異常なほど神経質に演じて、ほとんどコメディアン。ダン・エイクロイドの妻で『スパイ・ライク・アス』『ウェインズ・ワールド』に出ているドナ・ディクソンが、若いスチュワーデス役で出演している。

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