製作は『ユー・ガット・メール』のG・マック・ブラウン、『ジュリー&ジュリア』でも組んでいるドナルド・J・リー,Jr、ジョナサン・D・クレインにエフロン自身で、これは『ラッキーナンバー』でも集結している面々。『パリ・トラウト』の原作者でアメリカ現代文学の旗手ピート・デクスターと、ナショナル・エンクワイア紙の記者だったジム・クインランによる原案を読んだエフロンが映画化を熱望。妹のデリアと脚本・製作を担当しました。エフロンも記者出身なので、作中の新聞社の描写はきっとリアルなのでしょう。 撮影監督は、『フィールド・オブ・ドリームス』でアメリカの田舎を美しく切り取ったジョン・リンドレー。本作から『ラッキーナンバー』まで4作続けてエフロンと組んでいます。監督は「田園風景でも美しさと不気味さを兼ね備えた映像にしたい」とリクエスト、かなりのロー・キーで撮影していて、室内はもとより日中の野外シーンでも沈んだトーンが支配的です。 プロダクション・デザイナーは『月の輝く夜に』『カクテル』『心の旅』のダン・デイヴィス。エフロンとは『ユー・ガット・メール』でも組んでいます。映画の舞台はアイオワですが、「白い影を持つ少しばかり天国の雰囲気がある世界」という監督のイメージに合わせ、オースティンにある中部地域特有の畑やバーをロケに使用。 音楽のランディ・ニューマンは、アメリカを代表するシンガー・ソング・ライター。『ナチュラル』や『レナードの朝』など素晴らしいスコアの数々でも知られますが、『トイ・ストーリー』シリーズなどアニメに関わるようになってからはアクション・スコアばかりで、個性が薄れてしまいました。本作にはまだぎりぎり詩情と深みが残っていて、ニューマンらしい音楽が聴けるのが嬉しい所。酒場の乱闘シーンにニューマンらしく陽気な曲が付いている辺りは、ひと味違うセンスと言えます。 挿入曲ではニューマン自身が歌う“Heaven Is My Home”の他、ボニー・レイットの“Feel Like Home”も作曲しています(ニューマンのミュージカル・サントラ『ファウスト』の中の音源)。他では、ドロシー役のアンディ・マクドウェルが劇中で歌う美しいカントリー・ソングも聴き所。ウィリー・ネルソンがカヴァーした“What a Wonderful World”も映画の中で大きな効果を上げていて、音楽好きのエフロン監督らしいサントラになっています。 |