ハリウッドにおける、シャマランの第1作目。まだ実績のない新人監督という事で思い通りに撮影させてもらえなかったのか、それとも経験不足による技術的未熟さゆえか、次作『シックス・センス』で確立する特有のタッチはまだそれほど出ておらず、オーソドックスな演出という印象。全体にほのぼのとした穏やかさと暖かなムードに溢れた感動的な作品で、おじいちゃんの椅子をめぐるやり取りや、運動会の回想シーンなど、私には思い出しただけで大泣きしてしまう名場面もあります。 シャマランの個性は、主人公が少年である事や超自然的なテーマ、フィラデルフィアでのロケ撮影、静的なトーンを基調としながらも、俳優達の演技によってドラマティックな緩急を付けている所など、そこここに光っています。気の利いた素敵なラストも、シャマランらしいストーリー・センスの萌芽と言えるでしょう。ちなみに、彼が通っていた小学校、ウォルドロン・マーシー・アカデミーも撮影に使用されているそうです。 一つだけ気になったのはDVDの日本語字幕。ジョシュアがおじいちゃんの事をずっと“じじ”と呼びますが、オリジナルのセリフは普通に“グランパ”となっているようだし、日本でも祖父の事を“じじ”なんて呼ぶ子はあまりいないと思うので、これにはかなり違和感があり、興を削がれました。 |