シャマランが初めて手掛けたテレビ・シリーズで、彼は製作総指揮と第1話の監督を担当。原作物だし、脚本の執筆には関わっていないとあって、謎を秘めた驚きのストーリー展開を売りにしている以外は、あまりシャマラン色の強くない作品です。ただ、シリーズ後半まで観ていくと、閉ざされた街という『ヴィレッジ』の設定や、地球の進化や人類への脅威という『ハプニング』や『アフターアース』のテーマも踏襲されているのが面白い所。 多くのレビュアーが指摘しているように、最初はデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』のような雰囲気で始まりますが、それも謎の田舎町を舞台にしているというだけで、ストーリーの方向性はだいぶ違います。種明かしは中盤に仕掛けられ、シャマラン自身がメイキング映像で述べているように、5話めからがらっとジャンルが変わってしまうのが特徴。端的に言えば、SFとホラーの要素が入ってきて、最終的にはアクション・スリラーへと発展します。 人気の原作を下敷きにしているだけあって面白いストーリー展開ですが、全10話の構成としてはやや冗長。『ツイン・ピークス』のように、世界観やキャラクターのユニークさで見せてしまうような中毒性はありません。陰惨なエピソードも多く、最終話の後味も悪いので、最後まで観てもスカっとしないのが残念。クリーチャーの造形も、予算の都合か至ってオーソドックス。シャマラン自身は、自分や出演者達の多くにとってTVの分野は初めてだから、映画のようなアプローチで登場人物をじっくり描いたと語っています。 シャマランが監督した第1話は、まだ導入部だけあってミステリアスな雰囲気こそ維持しますが、映像や芝居のタッチは特にシャマラン映画のテイストでもなく、言われなければ彼の演出だとは分からないかも。まあシリーズ物ですから、後のエピソードとあまりクオリティが違ってもいけないのでしょうが、それにしても、他の監督達と演出力に大差ないというのは、シャマランのファンにしてみれば物足りない所です。 メイン・スタッフもテレビ界の人達が中心のようですが、製作のアシュウィン・ラジャンは本作以降シャマランの映画作品もプロデュースしています。又、映画で第1助監督を務めてきたジョン・ラスクはここでも続投。 |