脚本を執筆しているのはデヴィッド・コープ。『ジュラシック・パーク』に『ミッション:インポッシブル』に『スパイダーマン』と、話題作・超大作で才能を発揮してきた売れっ子です。密室を使ってスリルを煽る所などハリウッドの得意分野という感じもしますが、強盗三人組のキャラクターを際立たせ、その対立構造や関係性の変化を微妙なタッチで描き分けてみせる辺り、ドラマとしてよく書けていて、凡百のサスペンス映画とは一線を画します。 撮影監督には『セブン』のダリウス・コンジが再び起用されて、ファンの間でも期待が高まりましたが、残念ながら途中降板してしまいました。仕事を引き継いだのは、コンジの助手もしていたコンラッド・W・ホール。『明日に向かって撃て!』などでアメリカを代表する名手コンラッド・L・ホールの息子です。日本の記者にコンジ降板の理由を訊かれたフィンチャーは「その話には触れたくない」としながらも、「彼は“絵”を撮ろうとしていた。だけどこれは動画なんだ」と発言。やはり意見の相違が原因のようです。 コンジは相当部分を撮影し終えていたのか、クレジットは2人の連名になっていますが、薄暗い室内で動き回る人物を、懐中電灯の光線とシルエットで表現している映像を見ると、コンジの名前を出されなくとも自然に『セブン』を想起してしまいます。 パニック・ルームを擁する豪邸を中心とするプロダクション・デザインも、『セブン』に続いてアーサー・マックスが担当。彼も又、フィンチャーが敬愛するリドリー・スコット監督作品で腕を振るってきたデザイナーです。音楽のハワード・ショア、編集のジェームズ・ヘイグッドとアンガス・ウォールなど、ポスト・プロダクションの作業にフィンチャー組常連の人材が多数投入されているのも、フィンチャーらしさに拍車をかけた形。 |