ライナーの劇場映画第二作は、お調子者の男子学生と生真面目な女子学生が、お互い反発しあいながらも長距離の旅を共にする青春コメディ。前作『スパイナル・タップ』からすればずっと真面目な、映画らしい体裁を持っていて、主役二人の人間関係が意外に繊細に描かれる箇所もあり、見終わった印象の爽やかな作品ではありますが、ライナー自身インタビューで認めているように、まだまだオーソドックスで薄味の演出です。映像や編集も淡々としており、遊び心のある語り口はあまり見られません。 もっとも、同時代の低予算青春映画の中ではなかなかセンスの良い秀作として、ジョン・ヒューズ作品と共に頭一つ抜けている印象はあります。ライナー作品の登場人物は、ほとんどが大人ばかりか子供ばかりに限定されていて、その中間に位置する若者達の青春群像を描いた作品は珍しいので、その意味では興味深い作品。後に演技派として開花してゆくジョン・キューザックの多彩な芝居は見もので、中年オヤジから彼女を取り返そうと気が触れたフリをする場面は、コミカルながら迫力満点です。 |