恋愛映画の名手としても知られるライナーの、最初の恋愛映画。『めぐり逢えたら』『奥さまは魔女』など、自身もシックな恋愛映画の達人であるノーラ・エフロン監督の脚本を、ウィットに富んだ軽妙な語り口で映像化して、多くのファンを生みました。テーマは「男性と女性は恋愛感情抜きで親友になれるか」。メグ・ライアンとビリー・クリスタル、今やアメリカを代表するコメディアンとロマンティック・コメディの女王を起用していますが、公開当時は二人とも、まだ世界的に有名とはいえませんでした。 脚本家も監督も機知に溢れた知的な演出には定評のある人だし、背景は秋から冬にかけての美しいニューヨーク、そこへハリー・コニックJrが歌うジャズ・ナンバーが流れるとあっては、しぜん、映画はロマンティックにならざるを得ません。俳優陣も『スター・ウォーズ』のレイア姫で有名なキャリー・フィッシャーや、個性派ブルーノ・カービーなどユニークなキャスティングで、男性と女性をグループ分けし、それぞれの価値観を対比させているのも面白い作劇です。ライナーは映画のイディオムに意識的な監督だと思いますが、本作も、様々な夫婦へのインタビューをシーンの合間に盛り込むという、独自のスタイルで構成しています。センスの良い脚本と演出、手堅いスタッフワーク、俳優達の魅力によって、本作は上質な大人のコメディ映画となりました。ただ、そりの合わない男女が長距離ドライヴをするはめになるという最初のシチュエーションは、『シュア・シング』のプロットと同じですね。 |