迷い婚 すべての迷える女性たちへ

Rumor Has It 

2005年、アメリカ (97分)

 監督:ロブ・ライナー

 製作総指揮:ジョージ・クルーニー、スティーヴン・ソダーバーグ

       ジェニファー・フォックス、マイケル・ラックミル

       レン・アマト、ロバート・カービー、ブルース・バーグマン

 製作:ポーラ・ウェインスタイン、ベン・コスグローヴ

 脚本:T.M.グリフィン

 撮影監督 :ピーター・デミング, A.S.C.

 プロダクション・デザイナー :トム・サンダース

 編集 : ロバート・リートン

 音楽 :マーク・シャイマン

 出演:ジェニファー・アニストン  マーク・ラファロ

    ケヴィン・コスナー  シャーリー・マクレーン

    ミーナ・スヴァーリ  リチャード・ジェンキンズ

* ストーリー

 ニューヨーク・タイムズで働くサラは、恋人ジェフからプロポーズされながらも、本当にこのまま結婚するのがいいのかどうか、日々悩んでいる。ある日、妹の結婚式で帰郷したサラは、両親が実は映画『卒業』のモデルだというとんでもない噂を耳にし、真実を追求してゆく内、自分は父の本当の娘ではないのではという疑念を持ちはじめる。彼女は当時の噂の相手を探し出し、会って話をする事に成功するが…。

* コメント  

 結婚を前に揺れる女性心理をユーモラスに描いた、いかにもライナーらしいハートウォーミングなラブコメ映画。往年の大女優シャーリー・マクレーンや人気スターのケヴィン・コスナーを脇に配し、あくまでも主役二人の心の動きを繊細に追った演出が秀逸です。脚本も、ユニークなアイデアを丹念に構築したもので、最後まで楽しく観られる素敵な作品に仕上がりました。あまり話題にならなかったのが残念です。

 とにもかくにも、ジェニファー・アニストンが終始面白くなさそうな思案顔で逡巡している映画で、女優さんにも演出にも優れたコメディ・センスを感じます。ストーリーに若干デフォルメというか、荒唐無稽な部分があるので、俳優陣が落ち着いた芝居で淡々と進めているのは作品にプラスに働いた印象。唯一、とんでもないテンションで登場してきて、後半ナイーヴな演技を見せるミーナ・スヴァーリが良いアクセントになっています。シャーリー・マクレーンのすっとぼけた態度も、実は作品の中で重要な位置を占めていますが、それにしても、いかなケヴィン・コスナー演じるプレイボーイとはいえ、一家三代に渡って女性関係を持った男って一体…。

* スタッフ

 製作総指揮にスティーヴン・ソダーバーグとジョージ・クルーニー(『オーシャンズ11』の監督主演コンビ)の名前があるので、当初は彼らの映画として企画が進んでいたのかもしれません。内容はライナー印のハートフルなコメディになっているので、結果的にふさわしい人の手に渡ったという事でしょうか。編集、音楽はいつものメンバーですが、撮影のピーター・デミングはライナーと初仕事。サム・ライミ監督の『死霊のはらわた2』やデヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』など、相当アクの強い作品を手掛けてきた撮影監督ですが、本作はごく自然なルックで撮っています。

* キャスト

 主演は『フレンズ』のジェニファー・アニストンと、『ゾディアック』での好演が光るマーク・ラファロですが、印象としてはもう完全にアニストン主演の女の子映画という感じですね。彼女の持っている等身大的な雰囲気を考えると、それで正解だと思います。あと、ライナー作品はいつもそうですが、サラの父親や叔母、妹アニーの夫や友達グループなど、脇役の人達がみんな生き生きとコミカルな存在感を放っているのが何より。

 

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