マイケル・ダグラス、ダイアン・キートンの2大オスカー俳優を初共演させた人間ドラマ。とても良い映画なのに日本未公開なのが残念ですが、ソフトの邦題が「最高の人生」シリーズ3部作みたいな扱いで、紛らわしくて問題があると思います(原題も内容も無関係)。 よくある、「嫌われ者が子供と出会って変わってゆく」お話ですが、これみよがしな過剰演出を行わず、さりげない調子で通した所に好感が持てます。例えば、突然現れる孫娘のキャラクターは、生意気な現代っ子に設定すればドラマのメリハリが容易ですが、常套手段に走らず、怯えて悲しんでいるごく普通の子供として描いているのが観る者の共感を誘う所。 又、オーレンと息子の断絶した関係や、隣人リアとの恋愛模様、孫娘の母親を捜し出して会いに行く場面など、いずれもありがちな場面展開ながら、無駄な作為を加えて興趣を削いだりする事なく、自然な流れで優しく描いているのも素敵です。ウィットに富んだダイアローグも、高いクオリティを維持。ラストシーンなんて典型的なハッピーエンドで、絵空事だと批判する人もいるでしょうが、私などは逆にその率直さが快く、幸せな気持ちで胸が一杯になります。 周辺人物のキャラクター造形も魅力的で、アパートの住人やオーレンの仕事仲間達など、辛辣ながら愛の感じられる人間関係が心地良いです。また音楽のセンスが良く、マーク・シャイマンの暖かいメロディのみならず、オープニング・タイトルの歌がラストに生きてくる演出も秀逸。劇中では、ダイアン・キートン自らが歌うスタンダード・ソングもたくさん楽しめます。 |