ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で大ヒットを記録した映画『アポロ13』。彼らは映画に続いて、HBOテレビでアポロ計画の歴史を描くドラマ・シリーズを製作しました。ハワード作品のほぼ全てを手掛けるプロデューサー、ブライアン・グレイザーと、『アポロ13』の脚本を担当したアル・レイナートも参加して、豪華な顔ぶれで製作されたシリーズ全12話の中、第6話をフランク・マーシャルが監督しています。(各話共通の、トム・ハンクスによる冒頭のトーク部分は、監督の担当パートではないようです) 人気監督ロン・ハワードとスター俳優トム・ハンクスが製作に回り、現役の敏腕プロデューサーでもあるマーシャルが監督を担当するとは不思議な役割分担ですが、シリーズ中の白眉とも言える、人類初の月面着陸を行ったアポロ11号のパートを任せられている所に、マーシャルの演出能力への信頼の高さが窺われます。 前半は、テレビ番組に出演中の乗組員三人のトークを主軸に、話題に上ったエピソードをそれぞれ回想形式で描くもの。なかなか手際の良い脚本です。歴史的な出来事の裏に、乗組員達の精神的葛藤があった事も丁寧に描かれます。後半は、既に宇宙空間に飛び出しているアポロ11号の映像から始まり、アームストロングが月面に降り立ち、「人類にとっては偉大な一歩だ」という有名なセリフを吐く所まで、スピーディーなカットバックも用いてスリリングかつ感動的に描いています。全体に美しい演出で、奇を衒った所はありません。 いつも自社作品で監督をしているマーシャルとしては、本作は目下唯一の、外部プロダクションにおける監督作品という事になります。ちなみに、当シリーズの監督には、劇場映画でも活躍しているジョナサン・モストゥ、ジョン・タートルトーブや、女優サリー・フィールドの名前も見られる他、トム・ハンクスも一話監督しています。 |