TVシリーズ

『フロム・ジ・アース・トゥ・ザ・ムーン』 〜第6話『静かの海』

From The Earth To The Moon  〜 Part6 Mare Tranquilitatis

1998年、アメリカ (60分)

 監督:フランク・マーシャル

 製作総指揮:トム・ハンクス

 製作ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、マイケル・ボスティック

 脚本:アル・レイナート、グラハム・ヨスト、トム・ハンクス

 撮影監督 : ゲイル・タッターサル

 プロダクション・デザイナー :リチャード・トイオン

 編集 : クリストファー・ルーズ, A.C.E.

 音楽 :ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演:サム・アンダーソン     トニー・ゴールドウィン

    ケアリー・エルウェス   デヴィッド・アンドリュース

    ベッツィー・ブラントリー  ダン・バトラー

    ブライアン・クランストン  ダン・ハーゲン

    ニック・サーシー      リタ・ウィルソン

* ストーリー

 1969年7月20日午後4時18分、世界中が注目する中、ニール・アームストロング船長とエドウィン・オルドリン飛行士が、静かの海にて人類初の月面着陸を成し遂げる。

* コメント 

 ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で大ヒットを記録した映画『アポロ13』。彼らは映画に続いて、HBOテレビでアポロ計画の歴史を描くドラマ・シリーズを製作しました。ハワード作品のほぼ全てを手掛けるプロデューサー、ブライアン・グレイザーと、『アポロ13』の脚本を担当したアル・レイナートも参加して、豪華な顔ぶれで製作されたシリーズ全12話の中、第6話をフランク・マーシャルが監督しています。(各話共通の、トム・ハンクスによる冒頭のトーク部分は、監督の担当パートではないようです)

 人気監督ロン・ハワードとスター俳優トム・ハンクスが製作に回り、現役の敏腕プロデューサーでもあるマーシャルが監督を担当するとは不思議な役割分担ですが、シリーズ中の白眉とも言える、人類初の月面着陸を行ったアポロ11号のパートを任せられている所に、マーシャルの演出能力への信頼の高さが窺われます。

 前半は、テレビ番組に出演中の乗組員三人のトークを主軸に、話題に上ったエピソードをそれぞれ回想形式で描くもの。なかなか手際の良い脚本です。歴史的な出来事の裏に、乗組員達の精神的葛藤があった事も丁寧に描かれます。後半は、既に宇宙空間に飛び出しているアポロ11号の映像から始まり、アームストロングが月面に降り立ち、「人類にとっては偉大な一歩だ」という有名なセリフを吐く所まで、スピーディーなカットバックも用いてスリリングかつ感動的に描いています。全体に美しい演出で、奇を衒った所はありません。

 いつも自社作品で監督をしているマーシャルとしては、本作は目下唯一の、外部プロダクションにおける監督作品という事になります。ちなみに、当シリーズの監督には、劇場映画でも活躍しているジョナサン・モストゥ、ジョン・タートルトーブや、女優サリー・フィールドの名前も見られる他、トム・ハンクスも一話監督しています。

* スタッフ/キャスト

 このシリーズは監督以下、脚本、編集、音楽の担当が各話で入れ替わるのですが、この第6話は、シリーズ監修も務めるグラハム・ヨスト(『スピード』の脚本家です)とアル・レイナート、そしてトム・ハンクスの三人が脚本を執筆。音楽は、『生きてこそ』に続いてジェイムズ・ニュートン・ハワードが担当している他、編集のクリストファー・ルーズも、本作に続いて『南極物語』や『ボーン・アイデンティティ』シリーズでマーシャルと組んでいます。

 キャストでは、乗組員の一人に実力派ケアリー・エルウェスを配しているのが嬉しい所。男性中心の配役の中、ベッツィー・ブラントリーやリタ・ウィルソン(トム・ハンクスの奥さん)もキャスティングされています。

 

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