ジェームズ・キャメロンの映画を支えるキャスト達

 複数のキャメロン作品に参加している人々を追ってみましょう。

◎ランス・ヘンリクセン

 『殺人魚フライングキラー』『ターミネーター』『エイリアン2』

 B級映画の世界では知らぬ者のないバイプレーヤー。『殺人魚フライングキラー』の保安官役では手を骨折する大怪我を負いますが、キャメロンとは親しい友人になりました。『ターミネーター』では主役を演じる予定が、結局刑事役になってしまいましたが、『エイリアン2』のビショップ役で強烈なインパクトを発揮。さすがのB級魂を見せつけました。

◎キャプテン・キッド・ブリューワーJr.

 『殺人魚フライングキラー』『アビス』

 本業はプロ・ダイバー。『殺人魚フライングキラー』でダイブ・マスターを務めた際に出演も果たし、これがきっかけで『アビス』のフィンラー役に抜擢。撮影中は他のキャストのダイブ・インストラクターも兼任しましたが、映画の完成直後に急死し、エンド・クレジットに弔辞が加えられました。

◎ビル・パクストン

 『ターミネーター』『エイリアン2』『トゥルーライズ』『タイタニック』『タイタニックの秘密』

 キャメロンとは、18歳の時に知り合って以来の友人。『ターミネーター』ではシュワちゃんにやっつけられるチンピラ、『エイリアン2』では臆病な海兵隊員、『トゥルーライズ』ではまたもやシュワちゃんに脅されて失禁する詐欺師と、情けない役柄が続いたものの、キャメロン作品以外では『アポロ13』『ツイスター』『シンプル・プラン』など立派に好演。『タイタニック』ではやっとシリアスな役でキャスティングされ、ドキュメンタリー『タイタニックの秘密』でも、視聴者を代表する立場で深海探索機に乗り込んでいます。

◎アーノルド・シュワルツェネッガー

 『ターミネーター』『ターミネーター2』『T2 3-D』『トゥルーライズ』

 オーストリア出身。まだ英語に訛りがある頃に出演した『ターミネーター』は、セリフが極端に少ない事でハンディを隠した格好ですが、これが大ブレイク。一躍人気アクション俳優となりました。キャメロンとも意気投合し、ターミネーター・シリーズのみならず『トゥルーライズ』にも出演。後にカリフォルニア知事となって映画出演はなくなりましたが、キャメロンとの親交は続いているようです。

 二人はお互いを深く理解しあう友人同士。小峯隆生の『豪快!映画学』の中に、シュワちゃんのインタビュー記事もありますが、キャメロンに対する彼の言葉はどれも感動的で心打たれます。「私はジム・キャメロンと仕事をするために生まれてきたんだ」と言い切り、キャメロンの厳しい態度が衝突を生む事にも深い理解を寄せています。「ごく普通の振る舞いは、天才の思考と両立しえない。歴史上の人物はみんなそうだし、映画界だって同じ。映画の世界に普通の人なんていない。キャメロンのような天才には、どこかバランスを欠いた所がある。そういう部分があるから、とても複雑なんだ。それが分かっていれば、その部分も大事にするんじゃないかな」。

◎リンダ・ハミルトン

 『ターミネーター』『ターミネーター2』

 ターミネーター・シリーズで一躍ブレイクした女優さん。一時はキャメロンのパートナーでもありました(一子あり)。『T2』では、偽物の彼女が同一画面に登場する場面で双子の姉と共演しています。マイケル・ビーンと同様、キャメロン作品以外では『ダンテズ・ピーク』『ザ・ターゲット』などB級作品が多いのが残念。

◎マイケル・ビーン

 『ターミネーター』『エイリアン2』『アビス』『ターミネーター2』

 少年時代からネブラスカの地方劇団に所属し、アリゾナ大学演劇科卒業。『ターミネーター』は彼の代表作にもなりました。急遽参加した『エイリアン2』でも海兵隊員ヒックスとしてアクションをこなし、『アビス』では過度のストレスで精神を病んでゆく大尉を凄い迫力で演じてみせました。『T2』にも白昼夢の場面で少しだけ出演しましたが、劇場公開版ではカット(特別版で復活)。キャメロン作品以外ではあまり見かけない俳優さんです。

    

◎シガーニー・ウィーヴァー

 『エイリアン2』『アバター』

 エイリアン・シリーズの看板女優として余りにも有名。シリーズ1作目の監督リドリー・スコットも、後に『1492コロンブス』で彼女を再び起用していますが、キャメロンも『エイリアン2』とは全く違うタイプの役で『アバター』にキャスティング。彼女も又、製作者ゲイル・アン・ハードと同じスタンフォード大卒です。

 

◎ジェネット・ゴールドスタイン

 『エイリアン2』『ターミネーター2』『タイタニック』

 カリフォルニア大とニューヨークの演劇アカデミーで演技を修業、シェイクスピアの『十二夜』など舞台で活躍した後、『エイリアン2』で映画デビュー。短髪にバンダナを巻き、巨大な武器を振り回すヴァスクェス上等兵の精悍な姿は、多くの映画ファンを魅了しました。しかし、ジョンの養母を演じた『T2』と、沈み行く船の中で子供達をあやす母親を演じた『タイタニック』では、色黒で男っぽいヴァスクェスのキャラクターと全く対照的なイメージで登場。私も大いに驚かされました。

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