ティム・バートンの映画を支えるキャスト達

 複数のバートン作品に参加している人々を追ってみましょう。

ヴィンセント・プライス

 『ヴィンセント』『シザーハンズ』

 ロジャー・コーマン監督のエドガー・アラン・ポー原作映画に多数出演した事で、バートンの憧れの的となった俳優。短編『ヴィンセント』は内容的にも彼と密接な繋がりのある作品で、バートンは彼にナレーションを依頼。その後、『シザーハンズ』の冒頭にも、エドワードを生み出した博士の役で出演しています。

ポール・ルーベンス

 『ピーウィーの大冒険』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『バットマン・リターンズ』

 ご存知、ピーウィー・ハーマンとして子供達に人気を博した全米のアイドル。彼の主演映画は、バートンの劇場長編監督デビュー作となりましたが、91年にフロリダの映画館で猥褻行為に及んで逮捕、このスキャンダルで人気は失墜しました。しかしバートンは、翌年の『バットマン・リターンズ』で彼を起用し、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』でも悪魔っ子三人組のロックに彼をキャスティングして、デビュー作の恩に報いました。

キャサリン・オハラ

 『ビートルジュース』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『フランケンウィニー(リメイク版)』

 何といっても『ホーム・アローン』シリーズのお母さん役が有名。コメディ番組の即興一座のメンバーだった事もあり、『ビートルジュース』のデリアなどアクの強い役も得意。『ナイトメアー〜』には主人公の相手役サリーを担当し、見事な歌唱力を披露している他、悪魔っ子三人組のショックも極端なアニメ声で演じています。『フランケンウィニー(リメイク版)』でも一人3役を演じ分けて多芸多才ぶりを発揮。カナダ出身で、2010年のバンクーバー五輪では閉会式に出演しました。

    

ジェフリー・ジョーンズ

 『ビートルジュース』『エド・ウッド』『スリーピー・ホロウ』

 演劇界出身の異色俳優。猛禽類のような風貌から悪役も多いですが、『アマデウス』のヨーゼフ二世でゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優にノミネートされました。『ビートルジュース』はウィノナ・ライダーの父親役で比較的普通でしたが、『エド・ウッド』ではインチキ予言者クリズウェル役でオープニングとエンディングを飾り、『スリーピー・ホロウ』でもいわくありげな牧師役で不気味な存在感あり。

 

マイケル・キートン

 『ビートルジュース』『バットマン』『バットマン・リターンズ』『ダンボ』

 TV番組のスタッフ、コメディ舞台の作家・俳優として地方で活躍した後、ロン・ハワード監督の『ラブINニューヨーク』をきっかけに映画界でもコメディ作品に出演。『ビートルジュース』ではタイトルロールのベテルギウス、バットマン・シリーズで又もやタイトルロールに抜擢。バットマン役に決定した時の騒動については、作品ページ本文をご参照願います。バートン作品は今の所この三作だけで、ロン・ハワード作品にも『ガン・ホー』『ザ・ペーパー』と三作出演しています。

 

ウィノナ・ライダー

 『ビートルジュース』『シザーハンズ』『フランケンウィニー(リメイク版)』

 高校在学中から舞台で活躍し、チャーリー・シーン主演の『ルーカス』で本格映画デビュー。近年は万引きなど、何かと奇行で話題になっている女優さんです。『ビートルジュース』のゴス少女リディアが本来の彼女と近いそうですが、『シザーハンズ』では真逆のイメージで金髪のチア・リーダーを好演。

グレン・シャディックス

 『ビートルジュース』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『猿の惑星』

 舞台出身で、『ビートルジュース』のオーソが最初の本格的映画出演。特徴的な風貌ですが、その後は『ナイトメアー〜』の市長、『猿の惑星』の元老院議員セードと、素顔での出演がありません。

シルヴィア・シドニー

 『ビートルジュース』『マーズ・アタック!』

 20年代からブロードウェイの舞台に立ち、フリッツ・ラングやヒッチコックの映画にも出演しているベテラン。『ビートルジュース』では霊界の相談員ジュノー、『マーズ・アタック!』ではルーカス・ハースの祖母役で出演。

ジャック・ニコルソン

 『バットマン』『マーズ・アタック!』

 言わずと知れた名優。『バットマン』のジョーカーは、演技派の名優がアメコミのキャラクターを演じる流れの火付け役にもなりました。のみならず、まだ監督として経験の浅いバートンを現場で擁護、自分の作りたいように映画を作れと励ましたそうです。『マーズ・アタック!』では合衆国大統領と成金不動産屋の二役で大活躍。

マイケル・ガフ

 『バットマン』『バットマン・リターンズ』『スリーピー・ホロウ』『コープスブライド』『アリス・イン・ワンダーランド』

 クアラルンプール生まれ、ロンドンで演技を学んだベテラン。『吸血鬼ドラキュラ』を始めとするホラー映画の数々から、ローレンス・オリヴィエの『リチャード三世』まで幅広いジャンルで活躍しています。バットマンを暖かく見守る執事アルフレッドで強い印象を残し、バートンが降りた三作目以降も執事役で出演しました。『スリーピー・ホロウ』では片目の公証人、『コープスブライド』でグートネクトの声、『アリス・イン・ワンダーランド』でドードー鳥の声を担当。

ジョニー・デップ

 『シザーハンズ』『エド・ウッド』『スリーピー・ホロウ』『チャーリーとチョコレート工場』『コープスブライド』『スウィーニー・トッド』『アリス・イン・ワンダーランド』『ダーク・シャドウ』

 バートン作品の顔とも言える俳優。まだ有名ではなかった頃に出演した『シザーハンズ』は、特殊メイクで素顔が隠されているにも関わらず彼の出世作となり、以後も特殊な作品で特殊なキャラクターを、毎回別人のように違うイメージで演じているその表現力には舌を巻きます。

アラン・アーキン

 『シザーハンズ』『ダンボ』

 66年の映画デビュー作『アメリカ上陸作戦』と、『愛すれど心さびしく』でアカデミー主演男優賞ノイネート。日本では、オードリー・ヘップバーン主演作『暗くなるまで待って』の殺人鬼役で有名。舞台演出家、映画監督、作家としても活躍する多才な人で、小説は『カウンセリング熊』『レミング物語』など邦訳もあります。『シザーハンズ』ではエドワードを受け入れる一家の父親、『ダンボ』では大富豪レミントンを演じる。

ダニー・デヴィート

 『バットマン・リターンズ』『マーズ・アタック!』『ビッグ・フィッシュ』『ダンボ』

 アカデミー賞映画『カッコーの巣の上で』でスクリーン・デビュー。『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』『ツインズ』などコミカルな役柄で次々にヒット作に出演し、監督としても『ローズ家の戦争』でヒットを飛ばしました。『バットマン・リターンズ』のペンギンは強烈なキャラクターで、鬱屈した悲しみと怒りを見事に表現しましたが、『マーズ・アタック!』ではカジノのギャンブラーとして数シーンだけ出演、『ビッグ・フィッシュ』では夜ごと狼に変身するサーカス団長と、やはりユーモラスな役柄が続きます。

ミシェル・ファイファー

 『バットマン・リターンズ』『ダーク・シャドウ』

 ブライアン・デ・パルマ監督の『スカーフェイス』以降、様々なタイプの作品で強いインパクトを残して来た名女優。バートン作品では、何といってもキャット・ウーマンが当たり役ですね。ムチを見事に使いこなし、マネキンの首を落とす場面ではスタッフの拍手喝采を受けるひと幕も。『ダーク・シャドウ』でも、TVシリーズの熱狂的ファンだったのでじっとしていられず、企画段階からバートンに惜しみない協力を申し出たという、熱意の人。

クリストファー・ウォーケン

 『バットマン・リターンズ』『スリーピー・ホロウ』

 『ディア・ハンター』でアカデミー賞を受賞した彼は、いかにも冷徹で恐ろしい風貌から悪役が多く、『007/美しき獲物たち』なども話題を呼びましたが、近年は哀愁を帯びた情けない父親や、暖かみのあるコミカルな役などもよく見かけます。バートン作品では従来のイメージ通りで、『バットマン・リターンズ』の大富豪シュレック、『スリーピー・ホロウ』では首なし騎士と、恐ろしい役を見事に表現。

マーティン・ランドー

 『エド・ウッド』『スリーピー・ホロウ』『フランケンウィニー(リメイク版)』

 テレビ・シリーズ『スパイ大作戦』の変装の達人ロリン・ハントや、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ!』の殺し屋で注目を集め、B級映画の悪役を数多く担当。フランシス・コッポラの『タッカー』とウディ・アレンの『重罪と軽罪』でアカデミー賞にノミネートされ、往年の怪奇映画俳優ベラ・ルゴシを演じた『エド・ウッド』で助演男優賞に輝きました。『スリーピー・ホロウ』では、ヴァン・ギャレットとして冒頭の場面にカメオ出演しています。『スリーピー・ホロウ』では、ヴァン・ギャレットとして冒頭の場面にカメオ出演しています。『フランケンウィニー(リメイク版)』では圧倒的な声の表現力で、健在ぶりを示しました。

リサ・マリー

 『エド・ウッド』『マーズ・アタック!』『スリーピー・ホロウ』『猿の惑星』

 バートンの恋人として有名になった元モデル。出会いは『エド・ウッド』のヴァンパイラ役でした。二人して部屋でホラーばかり見ているという理想のオタク・カップルだったそうですが、『猿の惑星』の食事シーンで一緒にテーブルについているヘレナ・ボナム=カーターがバートンの新恋人になったため破局。『マーズ・アタック!』では人間に化けた火星人の異様なゆらゆら歩きで話題をかっさらい、『スリーピー・ホロウ』ではイカボッドの母親役で耽美的な幻想場面に出演しています。

サラ・ジェシカ・パーカー

 『エド・ウッド』『マーズ・アタック!』

 エド・ウッドの最初の恋人を演じた劇中、新聞評に「馬づら」と書かれ、『マーズ・アタック!』では火星人に捕まって悪戯され、小犬の体に首をすげ替えられるという、バートン作品きっての受難女優。後にTVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』で人気を博し、日本でも大きく知名度を上げました。

マーティン・ショート

 『マーズ・アタック!』『フランケンウィニー(リメイク版)』

 カナダ生まれ。俳優、コメディアン、司会、脚本家、プロデューサーとして活躍し、過去にエミー賞、トニー賞も受賞歴あり。『マーズ・アタック!』ではコメディ俳優の資質を生かした軽薄なキャラクターを演じる一方、『フランケンウィニー(リメイク版)』では全くタイプの異なる3つの役を声で演じ分け、多芸多才ぶりを発揮しています。

クリストファー・リー

 『スリーピー・ホロウ』『チャーリーとチョコレート工場』『コープスブライド』『アリス・イン・ワンダーランド』『ダーク・シャドウ』

 ロンドン生まれ、ヨーロッパ各地の映画に出演しまくり、ギネスブックに最も多くの映画に出演した俳優として記載されました。特にハマー・プロの『吸血鬼ドラキュラ』は有名で、八作品に渡って演じたドラキュラは彼の代名詞。彼を尊敬する監督は多く、近年も『ロード・オブ・ザ・リング』や『スター・ウォーズ』の各シリーズなど大作にも出演し続けています。『スリーピー・ホロウ』ではニューヨーク市長、『チャーリーとチョコレート工場』ではウォンカの父親、『コープスブライド』では牧師の声、『アリス・イン・ワンダーランド』ではジャバウォッキーの声、『ダーク・シャドウ』ではベテラン漁師と、いずれも短い出演ながらバートンの強いリスペクトを反映したキャスティングとなっています。

ディープ・ロイ

 『猿の惑星』『ビッグ・フィッシュ』『チャーリーとチョコレート工場』『コープスブライド』

 何といっても『チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパを一人で全部演じた人として、バートン映画の歴史に燦然と輝く役者さん。一度観たら忘れられないパフォーマンスです。ほとんど、彼の映画と言っていいくらい。バートン作品は『猿の惑星』のセード将軍の姪(!)とゴリラ・キッズで初出演。特殊メイクをしていてもユニークな風貌は際立っています。『ビッグ・フィッシュ』では太鼓を叩くサーカスの団員。『コープスブライド』では将軍ナポレオン・ボナパルト(そういう名前のキャラです)の声。作品紹介の所で書きましたが、この人の出演作リストは正にファンタジー映画の歴史そのものです。

ヘレナ・ボナム=カーター

 『猿の惑星』『ビッグ・フィッシュ』『チャーリーとチョコレート工場』『コープスブライド』『スウィーニー・トッド』『アリス・イン・ワンダーランド』『ダーク・シャドウ』

 英国出身。当初は『眺めのいい部屋』など、ジェームズ・アイボリー監督のコスチューム物でレディを演じているイメージが強かったですが、ウディ・アレン作品などアメリカの現代物にも出演しはじめ、デヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』などモダンな映画でも見かけるようになりました。それでも『猿の惑星』に特殊メイクで出演した時は驚きましたが、バートンとはこれがきっかけで交際がスタートし、その後の作品にも出演し続けています。

ミッシー・パイル

 『ビッグ・フィッシュ』『チャーリーとチョコレート工場』

 72年テキサス州ヒューストン生まれ。ロスに移って『恋愛小説家』などに起用され、『ギャラクシー・クエスト』の陽気な異星人ラリアリ、『プッシーキャッツ』の悪役アレキサンドラ役で一躍注目を集める。他に『ポリー my love』『50回目のファースト・キス』『ドッジボール』など。女性だけのコント集団「ビッチズ・ファニー」のメンバーで、定期的にスタンダップ・コメディもこなす。

 切れ味鋭いアゴと目が特徴的な、マンガチックなまでに個性の強い風貌を生かし、悪役やコメディで活躍。特に『チャーリーとチョコレート工場』では、同じくらいアクの強いルックスの子を娘役に起用した事もあり、母娘でインパクトが際立っておりました。その後も、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゴーン・ガール』で、いたずらに世論を煽る人気キャスターを好演。

ティモシー・スポール

 『スウィーニー・トッド』『アリス・イン・ワンダーランド』

 イギリスを代表する俳優の一人で、マイク・リー作品や『ハリー・ポッター』シリーズにも数作出演しています。個人的には、ケン・ラッセル監督の『ゴシック』におけるポリドリ医師が強烈に印象に残っています。『スウィーニー・トッド』では風貌を生かして性悪な役人バムフォード、『アリス・インワンダーランド』では猟犬ベイヤードの声を担当。

アラン・リックマン

 『スウィーニー・トッド』『アリス・イン・ワンダーランド』

 英国の舞台役者だった彼は、蜷川幸雄演出の舞台『タンゴ、冬の終わりに』に主演した事もありますが、何と言っても『ダイ・ハード』のテロリスト・リーダー、『ロビン・フッド』の悪代官という、全くタイプの異なる二つの悪役を魅力的に演じた事で大きな評判を呼びました。最近では『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ先生でも人気を博しています。『スウィーニー・トッド』では主人公トッドが復讐を誓う宿敵ターピン判事、『アリス・イン・ワンダーランド』では芋虫アブソレムの声を担当。

エヴァ・グリーン

 『ダーク・シャドウ』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』『ダンボ』

 80年、パリ生まれ。ベルナルド・ベルトルッチ監督に見出され、『ドリーマーズ』で衝撃のデビュー。『キングダム・オブ・ヘブン』でハリウッドに進出し、『007/カジノ・ロワイヤル』のヴェスパー・リンド役で世界の注目を集める。他にも『パーフェクト・センス』『シン・シティ/復讐の女神』『300(スリーハンドレッド)/帝国の進撃』『ライラの冒険/黄金の羅針盤』など、常に強いオーラを発揮する個性派女優。バートンとの2作でも、アクの強い役柄でインパクト大。

テレンス・スタンプ

 『ビッグ・アイズ』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

 39年、ロンドン生まれ。61年『可愛い妖精』で映画デビューしますが、ウィリアム・ワイラー監督の『コレクター』のインパクトが強すぎたのか、異常性の強いキャラクターや悪役が多い印象。他に『世にも怪奇な物語』のフェリーニ篇、『テオレマ』『イギリスjから来た男』『アンコール!!』などがあり、『スーパーマン』シリーズのゾッド将軍と、『プリシラ』のドラッグ・クイーンは絶賛されました。

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