製作はバートン組のデレク・フレイ、カッターリ・フラウエンフェルダーの他、ザ・チャーニン・グループの会長、社長でもあるピーター・チャーニン、ジェノ・トッピングが担当。彼らはリドリー・スコット監督の『エクソダス:神と王』なども製作しています。 原作のランサム・リグズは古い写真を収集していて、本作もそれらの写真から発想した物語ですが、同じく古い写真を集めているバートンはそこに共感。ヴィジュアル的にも、基になった写真を再現するような映像化を行っています。脚本のジェーン・ゴールドマンは、『キック・アス』や『X-MEN』シリーズなどアクション大作で活躍しているライターで、彼女の資質も本作の明快さに繋がっているかもしれません。結末の展開は原作と大きく異なっており、エマの特殊能力もオリーヴのそれと設定を入れ替えています。 撮影は前2作に続き、『アメリ』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』等で4度のオスカーに輝くブリュノ・デルボネル。舞台があちこち変わって変化に富む映画ですが、テイストを巧みに変化させながらも、常に美的センス溢れる画作りで観客を魅了します。 プロダクション・デザインは『スター・ウォーズ』新シリーズのギャヴィン・ボケット。同じく舞台の変化を巧妙に演出してバートン作品との相性の良さも窺わせます。舞台となる城はベルギー、アントワープにある小さな城で撮影。空き家だったのをたまたま見つけたとの事ですが、庭や内部など大半をここで、室内シーンの半分をロンドンのセットで撮影しています。クライマックスの埠頭の遊園地は英国のブラックプールという、古いリゾート地でロケ。あまり映画には使用されない土地ですが、それが作品にユニークなルックを提供しています。 衣装デザインのコリーン・アトウッド、編集のクリス・リーベンゾンはバートン組、音楽は常連ダニー・エルフマンから若手二人に交替しています。その一人マイク・ハイアムは『コープス・ブライド』『チャーリーとチョコレート工場』以降の音楽編集を手掛け、『ビッグ・アイズ』に追加スコアを提供した人。マシュー・マージェソンはゼロ年代以降に活躍している新進で、過去の担当作には『キングスマン』『スカイライン/征服』『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』等があります。エルフマンのような型破りの個性はありませんが、よりリアリスティックなアクション・スコアという感じの手堅い音楽。 |