LA2017

 (テレビ・シリーズ『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』の一話) 

LA2017 (The Name Of The Game)

1971年、アメリカ 

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 製作総指揮:リチャード・アーヴィング

 製作:ディーン・ハーグローヴ

 共同製作:エドワード・K・ダッズ

 脚本:フィリップ・ワイリー

 撮影監督:リチャード・A・ケリー

 美術監督:ウィリアム・トゥンザ

 衣装:グラディ・ハント

 音楽:ビリー・ゴールデンバーグ、ロバート・プリンス

 編集:フランク・モリス

 ユニット・マネージャー:エドワード・K・ダッズ

 助監督:アラン・クロスランド

 テーマ曲:デイヴ・グルーシン

 出演:ジーン・バリー  バリー・サリヴァン

    エドモンド・オブライエン  セヴァーン・ダルデン

    ポール・スチュワート  ルイーズ・ラザム

    シャロン・ファレル

  

* ストーリー 

 1971年、雑誌の発行者である主人公は、環境会議に向かう途中に交通事故で意識不明に陥り、2017年に意識を回復する。ロスはスモッグに汚染され、過激派が戦争を始めて、人々は地下で避難生活を強いられていた。主人公は過激派と手を組み、黒幕である誇大妄想症の市長の追放を図るが、過激派グループの悪辣さに気付き、地上へ逃亡。又もや昏睡状態となり目覚めた彼は、それらが悪夢であった事を知る。

* コメント    

 『恐怖の館』と共にマイナー・レーベルからDVD化されている、初期のTV作品。マスター・テープの保存状態が悪く、画質・音質はあまり良くない。本作は小さな成功を収め、世界SF会議での上映にスピルバーグも招待された。ユニヴァーサル社内でも評判を呼んだ本作は、『ドクター・ホイットマン』の仕事へと繋がった。

 71年当時はエピソード・ドラマの人気は落ちていて、テレビ局は長編ドラマを求めていた。ユニヴァーサルは、各ドラマのタイトルや登場人物を据え置き、製作期間や予算はそのままで、時間枠だけを90分に拡大して内容を充実。『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』もそんなドラマの一つだった。雑誌の出版社が舞台で、主人公はジーン・バリー、アンソニー・フランシオサ、ロバート・スタックの三人交替制。

 一種のディストピアSFではあるが、内実は複数の立場が入り乱れる政治劇で、かなり難解。誰がどういう立場なのかよく分からないまま、主人公は派閥争いに巻き込まれ、命を狙われる。スピルバーグお得意のアクションやキャメラワークは控えめで、硬派な会話劇という感じ。屋外の場面はほとんど無いが、地上の撮影には赤いフィルターを使用する事で、お金をかけずに汚染された世界を表現している。

 ちなみにスピルバーグは最初の妻となる女優エイミー・アーヴィングに一目惚れした時、彼女の叔父が本作の製作者リチャード・アーヴィングである事をジョージ・ルーカスから知らされて驚いたという。音楽は『アイズ』『激突!』でもスピルバーグと組んでいるビリー・ゴールデンバーグ。シリーズのテーマ曲は、後にフュージョン・ジャズのパイオニアとなり、『グーニーズ』の音楽も手掛けたデイヴ・グルーシン。編集も『激突!』のフランク・モリスである。

 

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