『恐怖の館』と共にマイナー・レーベルからDVD化されている、初期のTV作品。マスター・テープの保存状態が悪く、画質・音質はあまり良くない。本作は小さな成功を収め、世界SF会議での上映にスピルバーグも招待された。ユニヴァーサル社内でも評判を呼んだ本作は、『ドクター・ホイットマン』の仕事へと繋がった。 71年当時はエピソード・ドラマの人気は落ちていて、テレビ局は長編ドラマを求めていた。ユニヴァーサルは、各ドラマのタイトルや登場人物を据え置き、製作期間や予算はそのままで、時間枠だけを90分に拡大して内容を充実。『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』もそんなドラマの一つだった。雑誌の出版社が舞台で、主人公はジーン・バリー、アンソニー・フランシオサ、ロバート・スタックの三人交替制。 一種のディストピアSFではあるが、内実は複数の立場が入り乱れる政治劇で、かなり難解。誰がどういう立場なのかよく分からないまま、主人公は派閥争いに巻き込まれ、命を狙われる。スピルバーグお得意のアクションやキャメラワークは控えめで、硬派な会話劇という感じ。屋外の場面はほとんど無いが、地上の撮影には赤いフィルターを使用する事で、お金をかけずに汚染された世界を表現している。 ちなみにスピルバーグは最初の妻となる女優エイミー・アーヴィングに一目惚れした時、彼女の叔父が本作の製作者リチャード・アーヴィングである事をジョージ・ルーカスから知らされて驚いたという。音楽は『アイズ』『激突!』でもスピルバーグと組んでいるビリー・ゴールデンバーグ。シリーズのテーマ曲は、後にフュージョン・ジャズのパイオニアとなり、『グーニーズ』の音楽も手掛けたデイヴ・グルーシン。編集も『激突!』のフランク・モリスである。 |