ザ・プライベート・ワールド・オブ・マーティン・ダルトン

 (テレビ・シリーズ『ドクター・ホイットマン』の一話)

The Private World Of Martin Dalton (The Psychiatrist)

1971年、アメリカ 

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 脚本:リチャード・レヴィンソン、ウィリアム・リンク

 出演:ロイ・シネス  ジム・ハットン

    ケイト・ウッドヴィル  スティーヴン・ヒューディス

  

* ストーリー 

 12歳の少年マーティン・ダルトンは、現実の世界から逃避し、独自の奇妙な幻想の世界に住んでいる。ホイットマン医師は少年の問題が、養子である彼と育て親の関係に起因する事を突き止める。

* コメント    

 『ネーム・オブ・ザ・ゲーム』の成功は、『刑事コロンボ』を生み出したリチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクというプロデューサー、脚本家チームの目に止まり、スピルバーグはNBCアンソロジー・シリーズ『フォー・イン・ワン』の一つ、『ドクター・ホイットマン』の2話を監督。彼は後に『刑事コロンボ』の1話も監督しているが、そちらではなく、『死を呼ぶスキャンダル』という別の作品でこのコンビの脚本に関わっているのが面白い所。

 『ドクター・ホイットマン』は、『ベン・ケーシー』などの医者ものを土台にしたシリーズで、ロスに住む理想主義的な精神科医をロイ・シネス、年長でつむじ曲がりの同僚をルーサー・アドラーが演じる。

 当エピソードは、ロバート・リンドナーが書いた精神病の事例集『ザ・ジェット・プロベルド・コーチ』に紹介された有名な事例からヒントを得たもの。両親の離婚の影響でテレビと漫画から作り上げた空想の世界に閉じこもる少年は、いかにもスピルバーグが共感しそうな主人公で、超現実主義者の夢の表現に遺憾なく才能を発揮。ダリ風の幻想的な夢のシークエンスは、彼が監督したもう一つのドクター・ホイットマン作品にも登場する。

 

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