スピルバーグが監督した『ドクター・ホイットマン』の2作目。彼自身、この2作がテレビ時代に最もやりがいのある仕事だったと述べ、後に劇場映画で売れっ子になり、「人間が描かれていない」と批判を浴びた時も、彼はプロットや特殊効果に頼らず映画も作れる例として、これらを挙げている。 特にこの『パー・フォア・ザ・コース』は、脚本のレヴィンソンとリンクのコンビにも強い印象を与え、彼らの生んだシリーズ『刑事コロンボ』へのスピルバーグの起用に繋がった。彼自身、自分が手掛けたテレビ作品の中で最高のものとして、「僕は自分の劇映画と同じくらいこの作品を誇りに思っている」と発言している。 ゴルファー仲間が18番ホールをフラッグとカップもろとも掘り起こし、病院のベッドに横たわる主人公に贈る場面は、スピルバーグが即興で付け加えたもの。ギャラガー演じる主人公は泣き崩れ、カップに付いた土や芝生を頭の上にふりかける。このシーンを振り返ってスピルバーグ曰く「素晴らしい光景だったよ。クルーは泣き始めた。一人の人間として、そして俳優としてね。彼はホールから草を引きちぎり、土を体中に押し当てて仲間達に感謝するんだ。締まりがなかったシーンが、非常に感動的な場面に生まれ変わった瞬間だった」。 |