パー・フォア・ザ・コース

 (テレビ・シリーズ『ドクター・ホイットマン』の一話)

Par For The Course  (The Psychiatrist)

1971年、アメリカ 

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 脚本:リチャード・レヴィンソン、ウィリアム・リンク

 出演:クルー・ギャラガー  ジョーン・ダーリング

    マイケル・C・グウィン

  

* ストーリー 

 ホイットマン医師は、死を間近にしたプロゴルファーが末期ガンを克服するのに手を貸す。

* コメント    

 スピルバーグが監督した『ドクター・ホイットマン』の2作目。彼自身、この2作がテレビ時代に最もやりがいのある仕事だったと述べ、後に劇場映画で売れっ子になり、「人間が描かれていない」と批判を浴びた時も、彼はプロットや特殊効果に頼らず映画も作れる例として、これらを挙げている。

 特にこの『パー・フォア・ザ・コース』は、脚本のレヴィンソンとリンクのコンビにも強い印象を与え、彼らの生んだシリーズ『刑事コロンボ』へのスピルバーグの起用に繋がった。彼自身、自分が手掛けたテレビ作品の中で最高のものとして、「僕は自分の劇映画と同じくらいこの作品を誇りに思っている」と発言している。

 ゴルファー仲間が18番ホールをフラッグとカップもろとも掘り起こし、病院のベッドに横たわる主人公に贈る場面は、スピルバーグが即興で付け加えたもの。ギャラガー演じる主人公は泣き崩れ、カップに付いた土や芝生を頭の上にふりかける。このシーンを振り返ってスピルバーグ曰く「素晴らしい光景だったよ。クルーは泣き始めた。一人の人間として、そして俳優としてね。彼はホールから草を引きちぎり、土を体中に押し当てて仲間達に感謝するんだ。締まりがなかったシーンが、非常に感動的な場面に生まれ変わった瞬間だった」。

 

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