単発版、パイロット版に続いて始まった刑事コロンボのテレビ・シリーズ第1作目。コロンボの生みの親であるリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクもコンビで、主人公のコンビ作家とイメージが重なる。 シリーズのスタイルを決定付けたとして高評価を得た作品だが、スピルバーグはさほど独自性を発揮できなかったようで、オープニングにテーマ曲を使わず、タイプライターの音を挿入したり、高層ビルにあるオフィスを急角度で撮影したりしているものの、全体的に手堅くオーソドックスな演出。 スピルバーグの才能を買って起用したレヴィンソン&リンクだが、本作の脚本は担当しておらず、番組のストーリー・エディターだったスティーヴン・ボチコーがシナリオを提供。撮影監督は30年代から活躍し、スピルバーグが尊敬するスタンリー・キューブリック監督の『スパルタカス』や、オーソン・ウェルズの『黒い罠』など数々の名作を手掛けたラッセル・メティ。音楽のビリー・ゴールデンバーグは『LA2017』『アイズ』『激突!』でスピルバーグと組んでいる他、コロンボ作品にも幾つか参加。 |