スティーヴン・スピルバーグの映画を支えるスタッフ達

 複数のスピルバーグ作品に参加している人々を追ってみましょう。

《プロデューサー》

キャスリン・ケネディ

 (『1941』『レイダース/失われたアーク』)、『E.T.』『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『ゴースト・トレイン』『太陽の帝国』『最後のミッション』『オールウェイズ』『フック』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『A.I.』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『戦火の馬』『リンカーン』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

 サンディエゴ州立大学で電気通信学と映画の学位を取って卒業。NBC系列のテレビ局でカメラ・オペレーター、ビデオ編集者、フロア・ディレクターを経てニュース・コメンテーターに起用され、自分のトークショー番組『ユー・アー・オン』を持つに至る。『未知との遭遇』を観たのがきっかけで映画界に憧れていた所、ルームメイト(後にロバート・ゼメキス監督と結婚したメアリー・エレン・トレイナー)から『1941』の仕事を紹介され、ジョン・ミリアスの助手として参加。あらゆる打ち合わせに顔を出し、ずけずけと発言をする所がスピルバーグの目に止まり、『レイダース/失われたアーク』で助手に抜擢。

 そこで辣腕ぶりが認められて『E.T.』のプロデューサーに大抜擢。彼女の快進撃はそれだけでは止まらず、数年後にはアンブリン・エンターティメントの社長にまで登り詰めます。アンブリン作品のほとんどに製作者として関わる一方、以降ほぼ全てのスピルバーグ作品を製作していますが、余りに忙しかったのか『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』だけは不参加。『アミスタッド』以降もドリームワークスとの兼ね合いか、『A.I.』一作を除いて『宇宙戦争』からの再登板までしばらく参加していません。

 同じくスピルバーグの右腕だったフランク・マーシャルと結婚し、二人で独立プロダクションも設立。『シックス・センス』『ベンジャミン・バトン』などヒット作も輩出しました。彼女単独では、J・J・エイブラムスと組んだ『スター・ウォーズ』の新シリーズという大きな仕事もあります。『戦火の馬』では、スチール写真の撮影も担当。

    

フランク・マーシャル

 『レイダース/失われたアーク』『E.T.』、『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『ゴースト・トレイン』『太陽の帝国』『最後のミッション』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『オールウェイズ』『フック』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『戦火の馬』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

 UCLAで政治科学を専攻中、友人の映画評論家ピーター・ボグダノビッチの映画製作を手伝ったのをきっかけに業界入り。ウォルター・ヒル監督作品でプロデューサーを務め、『レイダース/失われたアーク』でスピルバーグと出会う。以後、スピルバーグ作品やアンブリンの各プロジェクトで采配を振るい、右腕的存在として大活躍。多くのスピルバーグ関連作で、セカンド・ユニットの監督も務めています。

 妻となったキャスリン・ケネディと自らの製作会社を設立し、『アラクノフォビア』で監督としてもデビュー。監督としての彼は当コーナーでも別に取り上げていますので、ご参照下さい。『フック』を最後にスピルバーグ作品から遠ざかりますが、17年後の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』で久々に復帰。続いて『戦火の馬』『BFG』もプロデュースしています。

 スピルバーグ直属の腹心だけあって、立ち回り方もしたたか。『トワイライト・ゾーン』撮影中の悪名高い事故では、製作者として法廷への出頭を強要されたものの、『インディ・ジョーンズ』のロケハンという名目で海外逃亡を繰り返し、滞在先のホテルで間一髪のニアミスを繰り返して最後まで捕まりませんでした。法的な拘束力が弱かったせいもありますが、この一件で「スピルバーグと彼の取り巻きには法律さえ通用しないのか」と、非難の嵐にさらされました。

ラタ・ライアン

 (『1941』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』)、『ジュラシック・パーク』

 プロデューサーとしては『ジュラシック・パーク』一作だけですが、意外に古いスタッフで、プロダクション・コーディネーターとして『1941』に参加。続いて『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でアメリカ・ユニットのプロダクション・コーディネーターを務めました。アンブリン作品では他に、 『ニューヨーク東8番街の奇跡』『バック・トゥ・ザ・フューチャー2、3』で同じポジションにクレジットされています。

ジョージ・ルーカス

 『レイダース/失われたアーク』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 言わずと知れた『スター・ウォーズ』『アメリカン・グラフィティ』の監督で、スピルバーグの古い友人。ルーカス・フィルム設立後、数々のヒット作でプロデューサーとして活躍。スピルバーグ監督作の製作は『インディ・ジョーンズ』シリーズだけですが、その影響は計り知れず、特撮工房I.L.M.のアーティスト達のみならず、ルーカス・フィルム出身のスタッフや、音響スタジオのスカイウォーカー・ランチなど、多くの人材や技術がスピルバーグ作品に投入されています。

 ちなみに、『ジュラシック・パーク』にはスペシャル・サンクスとしてルーカスの名前がクレジットされていますが、これは『シンドラーのリスト』の撮影のためにスピルバーグが編集室を2週間離れなければならなかった時、ルーカスが代行で編集作業を監督した事によります。アニメ映画『リトルフットの大冒険/謎の恐竜大陸』でも、スピルバーグと共に製作を担当。

ロバート・ワッツ

 『レイダース/失われたアーク』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』

 英国マルボロー・カレッジ、フランスのグルノーブル大学で学んだ後、ナイジェリア駐屯西アフリカ国境警備隊の将校として兵役に就き、63年に助監督として映画のキャリアをスタート。旅行家として有名で、ロケーション・マネージャーとして『007/サンダーボール作戦』『007は二度死ぬ』『パピヨン』『2001年宇宙の旅』『10億ドルの頭脳』等で腕を振るう。

 72年にジョージ・ルーカスと出会い、ルーカス・フィルムの一員として、『スター・ウォーズ』でプロダクション・スーパーヴァイザー、『同/帝国の逆襲』『同/ジェダイの復讐』では製作を手掛ける。スピルバーグ関連では、ルーカス抜きのアンブリン作品『ロジャー・ラビット』『アメリカ物語2』でも製作を担当しています。

コリン・ウィルソン

 (『レイダース/失われたアーク』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『太陽の帝国』『オールウェイズ』『フック』)、『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『宇宙戦争』『ミュンヘン』

 78年、『スーパーマン』で映画業界入り。編集アシスタント、共同編集者として『レイダース/失われたアーク』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『太陽の帝国』『オールウェイズ』に参加。アンブリンの『ロジャー・ラビット』でも共同編集を担当する。『フック』でプロダクション・エフェクツ・プロデューサー。スピルバーグ関連作では他に、『フリントストーン/モダン石器時代』『キャスパー』『ホーンティング』『スモール・ソルジャーズ』、スピルバーグ作品以外では『トゥームレイダー』『ターミネーター3』『トロイ』等を製作。

リチャード・ヴェイン

 (『E.T.』」『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』)、『オールウェイズ』

 テレビ局重役の息子として生まれ、トリニティ・カレッジを優秀な成績で正規より早く卒業。テレビ製作会社クイン・マーティン社のロケーション・スカウトの仕事からキャリアを始め、1年で部長に昇格。『ワンダー・ウーマン』など多くのショー番組を担当。次にワーナー・ブラザーズでテレビ映画のロケーション・マネージャーとなる。

 アンブリンでは『E.T.』」『トワイライト・ゾーン』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(カリフォルニア・ユニット)』のロケーション・マネージャーを務め、『オールウェイズ』で共同製作者にクレジット。スピルバーグ関連では、『アラクノフォビア』『ハリーとヘンダソン一家』も製作。92年にヒューズ・エンターティメントに入社し、『ホーム・アローン2』『あぶない週末』『わんぱくデニス』『赤ちゃんのおでかけ』をジョン・ヒューズと共に製作。他では、ニック・キャッスル監督の『ミリイ/少年は空を飛んだ』『タップ』を共同製作。

アーサー・レポラ

 (『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『太陽の帝国』)、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』

 経歴不詳。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』でプロダクション・コーディネーターを務めた後、ポスト・プロダクション・スーパーヴァイザーとして『カラー・パープル』『太陽の帝国』に参加。スピルバーグ関連作では、同じ肩書きで『グーニーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』『マネー・ピット』『ニューヨーク東8番街の奇跡』を担当。

イアン・ブライス

 (『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』)、『プライベート・ライアン』

 英国出身。79年に渡米し、ルーカス・フィルムで『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』の製作に参加、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』でアジア・ユニットの第2助監督を務めたのがきっかけで、スピルバーグ作品に関わる。『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』ではアメリカ・ユニットのプロダクション・マネージャー、『ロジャー・ラビット』でILMプロダクションのユニット・プロダクション・マネージャーと助監督、『ジョー、満月の島へ行く』でユニット・プロダクション・デザイナー。

 スピルバーグ監督作は『プライベート・ライアン』1作だけながら、アンブリン、ドリームワークスで『ツイスター』『恋は嵐のように』『あの頃、ペニーレインと』のプロデューサーを務める。外部作品では他に『タッカー』でプロダクション・マネージャー、『エンドア/魔空の妖精』『バットマン・リターンズ』『ライジング・サン』『ビバリー・ヒルビリーズ/じゃじゃ馬億万長者』『スピード』『フラッド』などを製作。

ジェラルド・R・モーレン

 『カラー・パープル』『フック』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『マイノリティ・リポート』

 モンタナ州生まれ。57年にリパブリック・スタジオ社の配車部に勤務して映画業界の仕事をスタート。67年、ユニヴァーサル社に移り、配車部のヘッドに配属。配車コーディネーターとして、『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』『帰郷』『チャンス』『普通の人々』『スクープ/悪意の不在』等、数多くの撮影現場に参加。その後、ユニット・プロダクション・マネージャーとしてアメリカ映画監督協会に所属し、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『トッツィー』などに関わった後、『カラー・パープル』では製作も兼任。

 スピルバーグ関連作では他に『ニューヨーク東8番街の奇跡』『キャスパー』『ツイスター』『フリントストーン/モダン石器時代』『リトル・ジャイアンツ『トリガー・エフェクト』を製作、『キルトに綴る愛』でも「特別協力」でクレジットされています。他では『デイズ・オブ・サンダー』『レインマン』等を製作。役者としても、『レインマン』『デイズ・オブ・サンダー』『ジュラシック・パーク』『アミスタッド』にチョイ役で出演しています。

ブルース・コーエン

 (『カラー・パープル』『オールウェイズ』)、『フック』

 ヴァージニア出身。イェール大学で映画を専攻し、ワーナー・ブラザーズの大学生インターンとして、エンターティメント業界のキャリアをスタート。『カラー・パープル』でDGAトレイニーとして参加して以後、『オールウェイズ』『ニューヨーク東8番街の奇跡』で第2助監督、『アラクノフォビア』で第1助監督を担当。『フック』で初めてプロデューサーを務め、アンブリン、ドリームワークス両者で『フリントストーン1、2』『アメリカン・ビューティ』『マウス・ハント』を製作、『3人のエンジェル』でも製作総指揮を務める。フランク・マーシャル監督『生きてこそ』の製作も担当。

ボニー・カーティス

 (『フック』『ジュラシック・パーク』)、『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』

 テキサス州生まれ。アビレンス・クリスチャン大学で学んだ後、ロスアンジェルスに移り、『いまを生きる』『アラクノフォビア』の製作に関わる。『フック』でスピルバーグの助手として雇われ、『ジュラシック・パーク』『恐竜大行進』『キャスパー』でもアシスタントを務める。有能な仕事ぶりから『シンドラーのリスト』でプロデューサーに抜擢され、後の数作で敏腕を振るっています。

ポール・ディーソン

 (『ジュラシック・パーク』)、『アミスタッド』

 経歴不詳。ユニット・プロダクション・マネージャーとして『ジュラシック・パーク』『フリントストーン/モダン石器時代』を担当。スピルバーグ関連作では、『キャスパー』『スモール・ソルジャーズ』『エボリューション』に共同製作者としてクレジットされています。

ウォルター・F・パークス

 『アミスタッド』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』

 イェール大学卒業後、1975年にアメリカのナチ集団を取材した長編ドキュメンタリー映画“The Carifornia Reich”の監督、製作、編集で映画界デビュー。同作でアカデミー・ドキュメンタリー作品賞にノミネート。83年、ジョン・バダム監督『ウォー・ゲーム』の脚本でもオスカー候補に。以降はプロデューサーとして活躍し、『レナードの朝』でもアカデミー作品賞にノミネート。

 アンブリン社で『キルトに綴る愛』『トリガー・エフェクト』『ツイスター』『メン・イン・ブラック』『リトル・ジャイアンツ』を製作した後、ドリームワークス社の立ち上げで、妻のローリー・マクドナルドと共同代表に就任。『ピース・メーカー』『ディープ・インパクト』『マスク・オブ・ゾロ』『スモール・ソルジャーズ』『グラディエーター』『ザ・リング』『タイムマシン』等を製作。

 夫婦で社長を務めるプロデューサーという点では、アンブリンのキャスリン・ケネディ&フランク・マーシャル夫妻を彷彿させる存在。美男美女夫婦でやり手、という所も似ています。脚本家として成功した経歴を持つパークスは、脚本にうるさく口を出すプロデューサーで、多くのドリームワークス作品でも彼が脚本に手を入れているともっぱらの噂です。

ローリー・マクドナルド

 『アミスタッド』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』

 サンフランシスコにあるNBCの関連会社KRONで、ドキュメンタリーやニュース番組のプロデューサーとしてキャリアをスタート。後にコロムビア映画に入り、プロダクションのヴァイス・プレジデントを5年間担当。94年にアンブリン・エンタテインメントに入社。『キルトに綴る愛』『トリガー・エフェクト』『ツイスター』『メン・イン・ブラック』を製作し、ドリームワークスSKGでは夫のウォルター・パークスと映像部門のトップを務める。『マスク・オブ・ゾロ』『グラディエーター』『ザ・リング』『タイムマシン』等で共同製作。

セルジオ・ミミカ=ゲザン

 (『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』)、『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』

 経歴不詳。『シンドラーのリスト』の後3年間映画を撮らなかったスピルバーグの復帰作、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』から第1助監督を務めている、いわば第二期スピルバーグ映画のキーマンの一人。よほど優秀な助監督だったのか、『マイノリティ・リポート』からはプロデューサーも兼任。

クリスティ・マコスコ・クリーガー

 (『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『宇宙戦争』『ミュンヘン』)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『戦火の馬』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 スピルバーグの助手から製作者という道を歩む人は、なぜか女優のように端麗なルックスでしかも辣腕というスーパー・ウーマンが途切れず続いていて、キャスリン・ケネディ、ボニー・カーティスに連なる三代目が彼女。優しい雰囲気の面立ちで、すごく腕が良いのに穏やかな佇まいというのが、スピルバーグの好みなのか三人の共通点でもあります。『A.I.』からスピルバーグのアシスタントに付き、『インディ・ジョーンズ』第4作以降は製作者に名を連ねています。

デニス・L・スチュワート

 (『アミスタッド』『ミュンヘン』)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 『アミスタッド』でプエルトリコ・クルーの助監督、『ミュンヘン』でブダペスト・ユニットのプロダクション・マネージャーを担当。第1助監督では他に『マスク』『スピード2』『ランダム・ハーツ』、プロダクション・マネージャーでは『パニック・ルーム』『チャーリーズ・エンジェル/フル・スロットル』『スパイダーマン2』『奥様は魔女』などに参加。

アダム・ソムナー

 (『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』)、『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『戦火の馬』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 セルジオ・ミミカ=ゲザンと入れ替わるようにして、『宇宙戦争』から第1助監督を担当。実は『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でスピルバーグ作品に関わった経験があり、この時はロンドン撮影のセカンド・ユニットで第3助監督を担当しています。

 『タンタンの冒険』でプロデューサー昇格後も助監督を続け、メイキング映像や撮影現場で強い存在感を放つユニークな逸材。他にスコセッシ監督『ウルフ・オブ・ウォールストリート』、リドリー・スコット監督『エクソダス:神と王』、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ザ・マスター』『インヒアレント・ヴァイス』を製作。

ダニエル・ルピ

 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』『レディ・プレイヤー1』

 プロダクション・マネージャーとして現場で活動する傍ら、プロデュースも手掛けるようになる。ポール・トーマス・アンダーソン監督作品には、『ハードエイト』から『インヒアレント・ヴァイス』まで全作品の製作に関わる。他にスパイク・ジョーンズの『her/世界でひとつの彼女』など。

ジェフ・スコール

 『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』

 カナダ生まれ。96年にeBayの初代社長に就任し、99年には社会起業家を支援するためのスコール財団を設立。04年には、社会をインスパイアする映画を製作する目的でパーティシパント・メディアを設立し、数多くの映画を製作総指揮。他に『不都合な真実』『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』『ヘルプ〜心がつなぐストーリー』『プロミスト・ランド』。

ジョナサン・キング

 『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』

 MGM/UAのニューヨーク事務所で、書籍、芝居、インディペンデント映画を探す仕事から映画界でのキャリアをスタート。数々のプロダクションで、製作や経営に従事。ジェフ・スコールが社会をインスパイアする映画を製作する目的で設立したパーティシパント・メディアで、長編映画部門の責任者を務める。他に『マリー・ゴールド・ホテルで会いましょう』『ドリームガールズ』『小説家を見つけたら』『プロミスト・ランド』『マダム・マロリーと魔法のスパイス』など。

《助監督》

デヴィッド・トンブリン

 『レイダース/失われたアーク』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(U.K.ユニット)、『太陽の帝国』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(U.K.ユニット)

 スピルバーグ映画の第1助監督として、最初に定着した一人。どれも英国撮影の作品ばかりなので、現地の映画人と思われます。

パット・キーオ

 『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『カラー・パープル』『オールウェイズ』

 こちらもスピルバーグ映画の第1助監督として、最初に定着した一人。関連作では『ポルターガイスト』『インナー・スペース』も担当しています。アンブリンの『ファンダンゴ』、ドリームワークスの『ピースメーカー』では共同製作者にクレジット。

《脚本家》

メリッサ・マティソン

 『E.T.』『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

 50年、ハリウッド生まれハリウッド育ち。UCLA卒業後、タイム誌の通信員やピープル誌の記者を経て、フランシス・フォード・コッポラの映画に魅せられて映画界入り。『ゴッドファーザーPART2』『地獄の黙示録』でエグゼクティヴ・アシスタントを務め、『ワイルド・ブラック/少年の黒い馬』でキャロル・バラードと共に脚本を執筆。これが認められて、同じくコッポラ製作の『マジック・ボーイ』の脚本も担当。『トワイライト・ゾーン』ではジュシュ・ローガン名義でシナリオに参加しています。

 ハリソン・フォードと83年に結婚、二児をもうけますが、00年に別居後、正式に離婚しています。他の執筆作は『リトル・ヒーロー』、マーティン・スコセッシ監督の『クンドゥン』など。『BFG』はスピルバーグとの33年ぶりのタッグで、撮影現場にも参加するほど精力を注ぎましたが、映画の完成を待たず15年11月に逝去。

メノ・メイエス

 『カラー・パープル』『最後のミッション』、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(原案)

 オランダに生まれ育ちながら、アメリカ文化に惹かれてアメリカの大学に進学。ヨーロッパ中世史を専攻した後、サンフランシスコのアート・インスティチュートに移り、4年間映画を学ぶ。『太陽の帝国』のシナリオ補作にも参加しているとの事。

トム・ストッパード

 『太陽の帝国』

 演劇界の注目をかっさらった戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(どちらもハムレットの登場人物)の作家として名高いイギリス人で、映画の脚本ではテリー・ギリアム監督『未来世紀ブラジル』や、アカデミー受賞作『恋に落ちたシェイクスピア』など、常に話題に事欠かない人。クレジットはされていませんが、以後ほとんどのスピルバーグ監督作で脚本のコンサルティングを行っているという事です。

デヴィッド・コープ

 『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『宇宙戦争』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 ウィスコンシン生まれ、UCLAのフィルム・スクールで学ぶ。俳優志望だったが、教授の勧めでライターに転向。映画配給会社に見習いとして入り、常勤に変わると夜は執筆に専念。マーティン・ドノヴァンとの共同執筆による『アパートメント・ゼロ』でデビュー。他に『永遠に美しく…』『カリートの道』『ザ・ペーパー』『スネーク・アイズ』『ミッション:インポッシブル』『スパイダーマン』『パニック・ルーム』など、話題作多数。ドリームワークスの『トリガー・エフェクト』で監督業にも進出し、他に『シークレット・ウィンドウ』等を監督。

ジェフ・ネイサンソン

 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(原案)

 UCLAを卒業後、アメリカ映画協会の脚本プログラムに入学。『シンドラーのリスト』の脚本家スティーヴン・ザイリアンに師事し、TVシリーズで活躍した後、『スピード2』『ラッシュアワー2』で売れっ子ライターに。

トニー・クシュナー

 『ミュンヘン』『リンカーン』

 ニューヨーク市出身。コロンビア大学卒業後、NYU大学院で演出を学び、戯曲を書き始める。数多くの作品を執筆する中、『エンジェル・イン・アメリカ』が20世紀を代表する戯曲として世界的に絶賛され、TVシリーズ化もされる。スピルバーグと組んだ『ミュンヘン』が初の映画作品。オペラやミュージカルにも挑み、歴史を緻密に再現して、その意味を掘り起こす作家として評価が高い。

《撮影監督》

アレン・ダヴィオー

 『アンブリン』『未知との遭遇』(特別篇追加シーン)、『E.T.』『トワイライト・ゾーン』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(カリフォルニア・ユニット)、『カラー・パープル』『幽霊列車』『太陽の帝国』

 舞台照明やスティールのカメラマンとして業界に入り、60年代後半、ジミ・ヘンドリックス、ザ・フー、アレサ・フランクリンなど、時代に先駆けてロックのプロモーション・ビデオ作りに才能を発揮した一人。67年にはロスアンジェルス・ロックンロールのテレビ・ショー“Boss City”を手掛け、69年、製作者のデニス・ホフマンから21歳のスピルバーグを紹介される。

 自主映画『アンブリン』の撮影監督を依頼された彼は、斬新なキャメラ・ワークで注目されますが、商業映画の仕事を嫌い、フリーランスでUCLAの学生に撮影技術を教えながら、ドキュメントやCMの仕事で一本立ち。『アンブリン』で彼に借金をしたスピルバーグは、『E.T.』の撮影監督にダヴィオーを第一候補に挙げて恩返し。これが彼の商業映画デビューとなります。スピルバーグは自分の言いなりになる無名の撮影監督を連れてきたのだとするマスコミもありましたが、逆光を多用した立体的なライティングや、幻想的でポエジーに溢れた映像スタイルは、後続の映画に多大な影響を及ぼしました。

 『E.T.』から『太陽の帝国』まで、『インディ・ジョーンズ』三部作を除いて全てのスピルバーグ監督作を担当している所を見ても、80年代のスピルバーグ映画を象徴する重要なシネマトグラファーだと言えるでしょう。叙情的な映像美でイメージが定着してしまったせいか、他の映画でダヴィオーの名前を見かける事は少ないですが、バリー・レヴィンソン監督の『バグジー』『わが心のボルチモア』では、素晴らしい仕事をしています。

 アンブリン製作『ハリーとヘンダソン一家』を担当している他、『トワイライト・ゾーン』ではジョージ・ミラー監督の第4話も撮影。他に、フランク・マーシャルの監督作『コンゴ』や、『コードネームはファルコン』『あなたの死後にご用心!』『フィアレス』『ノイズ』『ヴァン・ヘルシング』など。アカデミー賞には、『E.T.』『カラー・パープル』『太陽の帝国』『わが心のボルチモア』『バグジー』で5度ノミネート。

ヴィルモス・ジグモンド

 『続・激突!カージャック』『未知との遭遇』

 1930年、ハンガリーのチェグド生まれ。ブダペスト映画学校を卒業後の56年、ラズロ・コヴァックスと共に買物袋に隠したキャメラで撮ったハンガリー動乱のフィルムを持って渡米し、西側へ亡命。ロスアンジェルスでキャメラマンやラボ技術士として働き、二人共に名撮影監督となる。ユニオン・カードを手に入れて成功を得たジグモンドはそれを、コヴァックスがロバート・アルトマン監督に紹介して『ザ・ギャンブラー』を撮る機会を与えてくれたおかげだと言っていますが、ジグモンドをスピルバーグに紹介したのは、他ならぬそのアルトマン監督でした。

 他に、『ロング・グッドバイ』『脱出』『ディア・ハンター』『愛のメモリー』『ミッドナイト・クロス』『ローズ』『スケアクロウ』『天国の門』『さすらいのカウボーイ』『ウェディング』『イーストウィックの魔女たち』『マーヴェリック』など。

ウィリアム・A・フレイカー

 『未知との遭遇』(アメリカ追加撮影)、『1941』

 70年代に活躍した、名シネマトグラファーの一人。他に、『カッコーの巣の上で』『ローズマリーの赤ちゃん』『ブリット』『エクソシスト2』『イルカの日』『ベンチャー・ワゴン』など。『天国から来たチャンピオン』『ミスター・グッドバーを探して』でアカデミー賞ノミネート。

ダグラス・スローカム

 『レイダース/失われたアーク』、『未知との遭遇』(インド・シークエンス)、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』

 ロンドン生まれ、フランスで教育を受ける。ジャーナリスト、スチール・カメラマンを経て、第二次世界大戦でニュース・カメラマンとして映画に携わる。戦後、アーリング・スタジオに入り、17年間働いた後、渡米。ケン・ラッセル監督の『恋人たちの曲/悲愴』、ロマン・ポランスキー監督『吸血鬼』、アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲のミュージカル映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』など、けっこう個性的な、濃い作品が多い。『Travels with My Aunt』『ジュリア』『レイダース/失われたアーク』でオスカー・ノミネート。

 メイキング映像でも分かる通り、撮影当時はかなりのご老体。よくもああいう過酷なロケに耐えたもので。スピルバーグ自身『ジュラシック・パーク』の時、もう自分はアジアやアフリカの僻地でロケが出来るほど若くない、と語っていたくらいなのに。各カットごとにストーリー上の重要な要素をライティングで強調するというのが、よく知られたスローカムのスタイル。

ディーン・カンディ

 『フック』『ジュラシック・パーク』

 ロスアンジェルス生まれで、UCLAの映画科を卒業。ジョン・カーペンター、ロバート・ゼメキス両監督とのコンビで名前を知られるようになる。前者とは『ハロウィン』『ザ・フォッグ』『ニューヨーク1997』『遊星からの物体X』『ゴースト・ハンターズ』、後者とは『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作、『ロジャー・ラビット』『永遠(とわ)に美しく』。

 スピルバーグ関連では他に『キャスパー』『フリントストーン/モダン石器時代』、他では『絶叫屋敷へいらっしゃい!』『フラバー』『ガーフィールド』『バック・イン・タイム』、ロン・ハワード監督『アポロ13』、ジョー・ダンテ監督『ルーニー・チューンズ』、ナンシー・マイヤーズ監督『ファミリー・ゲーム/双子の天使』『ハート・オブ・ウーマン』『ホリデイ』など。『ロジャー・ラビット』でオスカーにノミネート。

 低予算映画出身で、仕事が早い点は高く評価されていますが、リアリズムを追求したルックの中にグラデーション豊かな色彩を盛り込む、独特の映像美は注目したい所。ゼメキス作品のイメージからか、実写とアニメやCGを合成するような映画ばかりに起用されたのは、本人にとって、良かったのかどううか。ナンシー・マイヤーズとのコンビ作が続き、ロマンティック・コメディの分野で需要が出て来たので活路を見出したい所。

ヤヌス・カミンスキー

 『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『戦火の馬』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 1959年、ポーランド生まれ。81年に渡米し、シカゴのコロンビア大学で撮影技術を学ぶ。87年の学位授与後、ロスアンジェルスに移住して、アメリカン・フィルム・インスティチュートの映画撮影学科の学生となり、劇場用映画『フォーリン・エンジェル/最後の24時間』でプロとしてのキャリアをスタート。

 スピルバーグに大抜擢された『シンドラーのリスト』でいきなりアカデミー賞受賞、以後は公私共にスピルバーグと親しく付き合い、コンビ作が継続中。他には『アミスタッド』『潜水服は蝶の夢を見る』『戦火の馬』『リンカーン』でオスカー・ノミネート、『プライベート・ライアン』で二度目の受賞。東欧出身らしいシックで階調豊かな色彩感覚を生かし、作品ごとに細かくスタイルを変えながら、個性的な映像ルックを創造してゆく才人。

 他にアンブリン製作の『キルトに綴る愛』、TV映画『南北戦争前夜』『ワイルドフラワー』『クラス・オブ61』の他、『リトル・ジャイアンツ』『潜水服は蝶の夢を見る』『ハックフィンの冒険』、キャメロン・クロウ監督の『ザ・エージェント』を撮影。ウィノナ・ライダー主演のオカルト・スリラー『ロスト・ソウルズ』で監督デビューもしている。

《プロダクション・デザイナー》

ジョセフ・アルヴェス, Jr

 『続・激突!カージャック』『ジョーズ』『未知との遭遇』

ノーマン・レイノルズ

 『レイダース/失われたアーク』『太陽の帝国』

 英国出身。74年の『星の王子様』でデビュー。他に『スター・ウォーズ』旧三部作、『エイリアン3』『ミッション:インポッシブル』、バリー・レヴィンソン監督とはアンブリン製作の『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』の他、『わが心のボルチモア』『スフィア』でも組んでいる。

ジェームズ・D・ビッセル

 『E.T.』『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『オールウェイズ』

 スピルバーグ関連作では他に『アラクノフォビア』『ハリーとヘンダソン一家(セカンドユニット監督も)』『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(メインタイトル・デザイン)

エリオット・スコット

 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』、(『フック』)

 イギリスMGMの美術チーフとして15年間活躍し、初期ヒッチコックのスリラー作品やミュージカルを多く手掛ける。ジョン・フォード監督『モガンボ』をはじめ、数々のセットもデザインし、独自の個性を発揮。スピルバーグ関連では『ロジャー・ラビット』に参加している他、『フック』でも特別協力にクレジットされています。他に、『ドラゴン・スレイヤー』『ラビリンス』など。

リック・カーター

 『ゴースト・トレイン』『最後のミッション』『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『A.I.』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『戦火の馬』『リンカーン』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

 ロスアンジェルス生まれ。60年代末にUCバークリーに通った後、70年代半ばよりアート・ディレクター、イラストレーターの仕事を始め、85年にスピルバーグ製作の『グーニーズ』で美術監督として起用される。翌年、アンブリン製作のTVシリーズ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』で全エピソードのプロダクション・デザイナーに抜擢。『戦火の馬』でアカデミー美術賞にノミネート、『リンカーン』とジェームズ・キャメロン監督『アバター』で受賞。ロバート・ゼメキス監督作、『フォレスト・ガンプ/一期一会』『ホワット・ライズ・ビニーズ』『キャスト・アウェイ』も担当。

 スピルバーグは『アメージング・ストーリー』について曰く、「リックは44話全てを手がけたんだけど、その仕事ぶりが気に入ってね。2年間大学に行って実地研修を受けているみたいだったよ。44人のデザイナーが1話ずつ担当したみたいなもんさ。限界がないんだ。一つのスタイルに閉じこもる事がない。彼はプロダクション・デザイナーのカメレオン的存在だね」。

アレックス・マクドウェル

 『マイノリティ・リポート』『ターミナル』

 マレーシアのボルネオ島生まれ。7年暮らした後、英国でクエーカー教徒の寄宿舎学校に入り、後にロンドンの中央美術学校で美術を学ぶ。パンク・ミュージックのレコード・ジャケットやMTVのデザイン、CMを数多く手掛けた後ロスアンジェルスに移り、プロダクション・デザイナーになる。初仕事の『バーチャル・ウォーズ』で注目され、『クロウ/飛翔伝説』『ラスベガスをやっつけろ』『ファイト・クラブ』『マリー・アントワネットの首飾り』『チャーリーとチョコレート工場』『コープス・ブライド』など、独特の世界観で異彩を放つ。

 デジタル技術との融合を得意とする新時代のプロダクション・デザイナーで、話題を呼んだ『マイノリティ・リポート』をはじめモダンな作品も多いですが、『ターミナル』では映画史上最大と言われた、実物大の空港セットを建築。『コープス・ブライド』では逆にミニチュア・セットを駆使するなど、アナログ技術も自在に扱う人です。『チャーリーとチョコレート工場』にもSF的なモダンさが随所に見られました。

アダム・ストックハウゼン

 『ブリッジ・オブ・スパイ』『レディ・プレイヤー1』

 ウェス・アンダーソン作品等でセンスを発揮している才人。『それでも夜は明ける』でアカデミー美術賞ノミネート、『グランド・ブダペスト・ホテル』で受賞。他に『ヤング・アダルト・ニューヨーク』『ダージリン急行』『ムーンライズ・キングダム』『犬ケ島』『脳内ニューヨーク』など。

《衣装デザイナー》

デボラ・ネドールマン

 『1941』『レイダース/失われたアーク』

 恐らくジョン・ランディスの奥さんなのか、彼の監督作品は全て手掛けています。『トワイライト・ゾーン』でもランディス監督のエピソードは彼女が担当。

デボラ・L・スコット

 『E.T.』『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『マイノリティ・リポート』

 54年生まれ、スピルバーグ映画ではなぜかSF、ファンタジー系の作品ばかりに参加。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も担当しています。『タイタニック』でアカデミー賞受賞。他に『ヒート』『レジェンド・オブ・フォール』『遭いたくて』『リトル・ヒーロー』『ホッファ』『あなたの死後にご用心』。

アンソニー・パウエル

 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『フック』

 ロンドンの美術学校を卒業後、主に演劇・舞台のデザインを手掛ける。60年代末からブロードウェイとハリウッドに関わり、数々の大作、話題作に参加。『The Travel with My Aunt 』『テス』『ナイル殺人事件』でオスカー受賞。『ポランスキーのパイレーツ』で仏セザール賞、舞台『School for Scandal』でトニー賞をそれぞれ受賞。

ボブ・リングウッド

 『太陽の帝国』『A.I.』

 イギリス出身。81年に『エクスカリバー』で衣装を担当。その後『砂の惑星』『サンタクロース』『ハマースミスの6日間』『エイリアン3』『バットマン』『バットマン・リターンズ』『バットマン・フォーエヴァー』『デモリションマン』『エイリアン4』『スーパーノヴァ』『X-メン』『タイムマシン』など。

ジョアンナ・ジョンストン

 (『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』)、『プライベート・ライアン』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『戦火の馬』『リンカーン』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

 英国生まれ。舞台の衣装を手掛けていたが、アンソニー・パウエルのアシスタントとして映画界に進出し、『テス』『ナイル殺人事件』などに参加。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『同/最後の聖戦』でスピルバーグ作品と出会う。

 『ヘルレイザー』で衣装デザイナーとして独立後、『ロジャー・ラビット』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『フォレスト・ガンプ/一期一会』等ロバート・ゼメキス作品に参加。他に、『遥かなる大地へ』『フレンチ・キス』『シックス・センス』『アンブレイカブル』『ラブ・アクチュアリー』など。『アバウト・ア・ボーイ』で衣装デザイナー協会賞受賞。

 スピルバーグ作品ではシリアスな映画に起用される傾向。特に戦争映画において、資料や博物館を当たって徹底的な時代考証を行い、リアルな軍服を大量に用意した手腕は高く評価される。『戦火の馬』での彼女の仕事について、製作のキャスリン・ケネディは「これほど

スー・ムーア(衣装スーパーヴァイザー)

 『フック』『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』

 他に『キルトに綴る愛』『マーズ・アタック!』『リトル・プリンセス』『スタンド・バイ・ミー』など。女性の衣装のみで『フリントストーン/モダン石器時代』『ジョー、満月の島へ行く』、スピルバーグ関連以外で『ハバナ』『レインマン』『ナチュラル』『想い出のジュエル』『ダーティ・ハリー4』など。

メアリー・ゾフレス

 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 ヴァッサー大学で美術史とスタジオ・アートの芸術学士を取り、ファッション業界で仕事を開始。オリヴァー・ストーン監督『7月4日に生まれて』で衣装のスーパーヴァイザーを担当し、映画界でのキャリアをスタート。ストーン作品では『エニイ・ギブン・サンデー』も手掛ける。『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』『オー・ブラザー!』『ノー・カントリー』等でコーエン兄弟作品、『ジム・キャリーはMr.ダマー』『キングピン/ストライクへの道』『メリーに首ったけ』でファレリー兄弟作品の衣装を担当。

 『ターミナル』でロス近郊の買い物に奔走した彼女の仕事ぶりを見て、スピルバーグ曰く「彼女はエキストラの衣装にかなり思い切った事をしていて、衣装選びを楽しんでいたよ」。『キャッチ・ミー〜』でも、千変万化するディカプリオの衣装と変わりばえのしないハンクスの衣装で、役の性格と状況を対比させるなど、衣装で物語を紡ぐ彼女の才気を遺憾なく発揮。ドリームワークスでは『ポーリー』も担当。

カシア・ワリッカ・マイモン

 『ブリッジ・オブ・スパイ』『レディ・プレイヤー1』

 ベネット・ミラー監督と『カポーティ』『マネーボール』『フォックスファイヤー』でコンビを組む。他に『ヴィンセントが教えてくれたこと』『ブラック・スキャンダル』『バーニング・オーシャン』『ムーンライズ・キングダム』など。

《編集》

エドワード・M・エイブロムズ

 『アイズ』『続・激突!カージャック』

ヴァーナ・フィールズ

 『続・激突!カージャック』『ジョーズ』

 スピルバーグの友人の作品、ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』やピーター・ボグダノヴィッチの『ペーパー・ムーン』を編集した人。スタッフに食事を用意したりと母親のような雰囲気があり、“マザー・カッター”と呼ばれてとても慕われていたそうです。『未知との遭遇』の編集も、前2作同様彼女が担当する予定でしたが、実現しませんでした。『ジョーズ』は彼女の編集で救われたという噂が社内にあり、音楽のジョン・ウィリアムズと彼女だけがオスカーを受賞し、監督が無視された事にスピルバーグは立腹したせいだと言われています。

 フィールズに絶大な信頼を寄せたユニヴァーサルは、『未知との遭遇』の共同プロデューサーに彼女を起用した上、彼女が気に入った脚本があればいずれ監督デビューもさせるつもりだったとの事ですが、結局そうはなりませんでした。

マイケル・カーン

 『未知との遭遇』『1941』『レイダース/失われたアーク』『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『カラー・パープル』『太陽の帝国』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『オールウェイズ』『フック』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『戦火の馬』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 1924年、ニューヨーク市生まれ。19歳でTV局の編集助手について以来、編集畑一筋の人。ジョージ・C・スコット監督の『Rage』で初めて劇場用映画を手掛け、その後『アイス・キャッスル』『サウス・ダコタの戦い』『恋におちて』『5人のテーブル』『アイズ』『トイ・ソルジャー』『生きてこそ』『レモニー・スケットの世にも不幸せな物語』等を手掛ける。アカデミー賞には『未知との遭遇』『太陽の帝国』『危険な情事』『ミュンヘン』『リンカーン』でノミネート、『レイダース』『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』で受賞。

 スピルバーグとは『未知との遭遇』が初仕事で、それ以降はキャロル・リトルトンが編集した『E.T.』と、アシスタントのスティーヴン・ケンパーが担当した『アメージング・ストーリー』中の2作を除き、全ての作品で共作。他のスピルバーグ関連作では『ユーズド・カー』『ポルターガイスト』『グーニーズ』『アラクノフォビア』『キャスパー』『ツイスター』『ホーンティング』など。

スティーヴン・ケンパー

 『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(以上、編集助手)、『ゴースト・トレイン』『最後のミッション』

 マイケル・カーンのアシスタントとして『トワイライト・ゾーン』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に参加。アンブリン作品では『ハリーとヘンダソン一家』の追加編集も担当しています。独立後は、『レリック』『タイムコップ』などピーター・ハイアムズ作品や、ジョン・ウー監督の『ウィンド・トーカーズ』等を手掛ける。

サラ・ブロシャー

 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(編集助手)、『戦火の馬』『リンカーン』(以上、第1編集助手)、『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(以上、追加編集)、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 ノースウェスタン大学、アメリカン・フィルム・インスティチュートを卒業後、『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』で師匠のマイケル・カーンと編集作業を始める。以後の作品で編集助手や追加編集を担当し、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』から共同編集にクレジットされる。

《音楽》

ジョン・ウィリアムズ

 『続・激突!カージャック』『ジョーズ』『未知との遭遇』『1941』『レイダース/失われたアーク』『E.T.』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『ゴースト・トレイン』『太陽の帝国』『最後のミッション』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『オールウェイズ』『フック』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『戦火の馬』『リンカーン』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

 現代最高の映画音楽作曲家の一人。スピルバーグやルーカスと組み、フル・オーケストラによるゴージャスでクラシカルな音楽をハリウッドに復活させた功績は大きいです。アカデミックな素養を生かしたクオリティの高いオーケストラ曲に、ジャズや民族音楽など様々なジャンルの音楽をミックスする才能と、インスピレーションに溢れた独創的な曲調、耳に残るインパクトの強いメロディを紡ぐセンスと、この分野においては全てのスキルを備えた巨匠と言えるでしょう。

 32年、ニューヨーク州生まれ。作曲家の父の元で育ち、UCLAとジュリアード音楽院で学ぶ。50年代後半からピアニストとして数々のレコーディングに参加。ヘンリー・マンシーニ作曲の有名な「ピーター・ガンのテーマ」を弾いているのは彼です。60年代から映画やテレビのサントラを手掛け、『哀愁の花びら』でアカデミー賞に初ノミネート。以降ほぼ毎年のように候補となり、『屋根の上のバイオリン弾き』『ジョーズ』『スター・ウォーズ』『E.T.』『シンドラーのリスト』で5度受賞。

 スピルバーグとは、劇映画デビュー作『続・激突!カージャック』で出会い、それ以降ほぼ全作手掛ける蜜月ぶり。その後に担当を外れた作品は、ジェリー・ゴールドスミスが全エピソードで作曲した『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』と、クインシー・ジョーンズを起用した『カラー・パープル』、体調不良で降板した『ブリッジ・オブ・スパイ』、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』とスケジュールが重なったために参加できなかった『レディ・プレイヤー1』の4作。

《音響デザイナー》

ベン・バート

 『レイダース/失われたアーク』、『E.T.』(声のデザイン)、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『オールウェイズ』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『リンカーン』

 ニューヨーク州シラキュース生まれ。6歳から映画の音響に興味を持ち、テレビや映画の音響を録音、分析するマニアだった。アリゲニー大学で物理学の学士号を受け、自主短篇映画『ジェネシス』でマックグロウ・ヒル奨学金を得て南カリフォルニア大学映画科に学ぶ。ここでも映画製作の学士号を獲得しつつ、在学中にテレビ映画などで特殊音響効果を担当。修士論文を書いていた頃、後に『スター・ウォーズ』の製作を担当するゲイリー・カーツと出会い、この作品でアカデミー賞を受賞。

 やや誇張された感じのスピルバーグ的エンタメ音響表現は、バートのセンスに基づく所が多いようで、後の映画にも大きな影響を与えたと思います。他に『スター・ウォーズ』シリーズ全作、『SF/ボディ・スナッチャー』『アメリカン・グラフィティ2』『ダーク・クリスタル』『エイリアン』など。『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』では、脚本・監督にも進出。『レイダース』『E.T.』でもオスカー受賞。サントラ盤「レイダース、映画をレコードで」でグラミー賞受賞。

ゲイリー・ライドストロム

 『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『戦火の馬』『ブリッジ・オブ・スパイ』『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『レディ・プレイヤー1』

 ベン・バートの後継者たる音響デザイナーで、メイキング映像にもよく登場して喋りまくっているので、スピルバーグ・ファンならよくご存知かもしれません。『ジュラシック・パーク』の恐竜の鳴き声や、サスペンスフルな場面での音響構成は見事でした。『プライベート・ライアン』の戦場における強烈な音響表現や、戦時の本物の音声を隠し味に使うこだわりにも脱帽です。『リンカーン』はベン・バートが音響デザインを担当しましたが、リ・レコーディングのミキサーとしてライドストロムも参加しています。

《ポスト・プロダクション・エグゼクティヴ》

マーティン・コーエン

 『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『アミスタッド』『プライベート・ライアン』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『ターミナル』『宇宙戦争』『ミュンヘン』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 『カラー・パープル』に編集アシスタントとして参加。『太陽の帝国』で共同編集、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』では特別協力にクレジット。『オールウェイズ』以降は、監督作以外のスピルバーグ作品も含めてポスト・プロダクションの監修を担当し続け、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』までの全監督作にクレジットされています。区切りの良い作品なので引退だと思いたいですが、その後どうなったのか不明。

《視覚効果》

カルロ・ランバルディ

 『未知との遭遇』『E.T.』

 世界的に有名なイタリアの彫刻家・画家。映画界との最初の関わりは76年の『キングコング』で、79年の『エイリアン』ではアカデミー視覚効果賞を受賞。優れた造形センスを『未知との遭遇』『E.T.』の異星人デザインに生かしました。特に後者は、一目で何か分かるほど世界的に知られた人気キャラクターとなり、デザイナーとしての才覚を見事に証明。

デニス・ミューレン

 『E.T.』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『太陽の帝国』『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『A.I.』『宇宙戦争』

 カリフォルニア州グランデール生まれ。パサディナ・カレッジ、カリフォルニア州立大学ロスアンジェルス校に学ぶ。幼い頃から視覚効果への感心が高く、十代で既に8ミリ映画を製作。大学で魔法をテーマにした16ミリの自主映画『ザ・エクノクス』を発表。ストップ・モーションなど特殊効果を盛り込んだ手法が話題を呼び、アメリカでは一般公開される。

 当初は視覚効果キャメラマンとして『未知との遭遇』でマザーシップの撮影、『スター・ウォーズ』にも関わり、後に『同/帝国の逆襲』『同/ジェダイの復讐』『E.T.』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『インナー・スペース』『アビス』『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』でアカデミー特殊効果賞受賞。『ドラゴン・スレイヤー』『ヤング・フランケンシュタイン』『ウィロー』でノミネート。

 ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』のために作った特撮工房の草分け、インダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)の主任スーパーヴァイザーで、コンピュータ・グラフィックスの革新的進歩に関わったキーマン。『ウィロー』『アビス』『T2』で実写映像を自在に変容させる技術から、『ジュラシック・パーク』ではフルCGの生物を実写の中に違和感なく配置する事に成功し、後の映画界の技術地図を刷新しました。

スタン・ウィンストン

『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『A.I.』

 68年、ヴァージニア州立大学で演劇と美術を専攻。卒業後の69年からハリウッドで俳優として活動をはじめるが、メイクアップ・デザインに興味を持ち、ディズニー・スタジオに入社。メイクアップと特殊効果部門に配属され、テレビ映画で5つのエミー賞を受賞。映画『ウィズ』等も手掛け、登場人物のほとんどがロボットという81年のコメディ『ハートビープス/恋するロボットたち』で初のアカデミー賞ノミネート、『エイリアン2』で初受賞。『ターミネーター2』では視覚効果とメイクアップの2部門で受賞し、『ジュラシック・パーク』で4つめのオスカーに輝く。

 SFXアーティストの文字通り第一人者。機械仕掛けのロボットやクリーチャーは得意分野で、ターミネーターの各種メカニックから、エイリアンのデザインとエフェクト(『エイリアン2』ではセカンド・ユニットの監督も担当)、『ジュラシック・パーク』の恐竜まで、どれも神業的な仕事ばかり。特にジェームズ・キャメロン作品には関係が深く、『ターミネーター』『エイリアン2』『ターミネーター2』『T2 3-D』に参加。93年にはキャメロン、元ILM会長のスコット・ロスと共に、コンピュータ・エフェクツの会社デジタル・ドメインを立ち上げています。

 他の作品に、『ゾンゲリア』『スターマン/愛・宇宙はるかに』『スペースインベーダー』『プレデター1、2』『インタビュー・ウィズ・バンパイア』『リバイアサン』『シザーハンズ』『バットマン・リターンズ』『オースティン・パワーズ・デラックス』『シックス・センス』『ホワット・ライズ・ビニーズ』『エンド・オブ・デイズ』『パール・ハーバー』など。クリーチャー製作では『レリック』『ゴースト・アンド・ダークネス』も好評です。

 スピルバーグ関連では『マウス・ハント』『スモール・ソルジャーズ』『ギャラクシー・クエスト』『ジュラシック・パーク3』に参加。監督作(『パンプキン・デッド』『グノーム/ボクの素敵なパートナー』)もあり、マイケル・ジャクソンの短篇フィルム『Ghosts』も監督。自らのスタジオを率いて常に業界の最先端を走りましたが、惜しまれつつ08年に他界。

マイケル・ランティエリ

 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『フック』『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『A.I.』『マイノリティ・リポート』『ターミナル』

 ILMを代表する特殊効果アーティストの一人で、大掛かりな装置や特殊な仕掛けを得意とする人。74年にユニヴァーサル・スタジオの特殊効果部門に入り、83年の『フラッシュ・ダンス』で映画デビュー。『ジュラシック・パーク』でアカデミー賞受賞、『同/ロスト・ワールド』もノミネート。他には『フライト・ナイト』『ウーマン・イン・レッド』『スター・ファイター』『ツインズ』『イーストウィックの魔女たち』『ドラキュラ』『永遠に美しく…』『マーズ・アタック!』『コンゴ』など。

 スピルバーグ関連では他に『バック・トゥ・ザ・フューチャー2.3』『ロジャー・ラビット』『フリントストーン/モダン石器時代』『キャスパー』『マウス・ハント』『ディープ・インパクト』『ポーリー』等に参加。

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