ゴースト・トレイン

 (テレビ・シリーズ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』の一話)

Ghost Train (Amazing Stories)

1985年、アメリカ (25分)

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ

       フランク・マーシャル、キャスリン・ケネディ

 製作:デヴィッド・E・ヴォーゲル

 共同製作:スティーヴ・スターキー

 脚本:フランク・ディーズ、スティーヴン・スピルバーグ

 (原案:スティーヴン・スピルバーグ、ジョシュア・ブランド、ジョン・フォルシー)

 撮影監督 : アレン・ダヴィオー , A.S.C.

 プロダクション・デザイナー:リック・カーター

 編集:スティーヴン・ケンパー

 音楽:ジョン・ウィリアムズ

 出演: ロバーツ・ブロッサム  ルーカス・ハース

* ストーリー 

 郊外に建てたばかりの、息子夫婦の家にやってきた老人。彼は、その土地が75年前に起きた列車事故の現場であり、事故の生存者である自分を迎えに“ハイボール急行”がやってくる事に気付く。その軌道にちょうど家が建っていると警告する彼だが、そんな話を信じるのは孫のブライアンだけだった。

* コメント  

 スピルバーグとフランク・マーシャル、キャスリン・ケネディが製作総指揮を務め、鳴り物入りで製作されたアンブリンのテレビ・シリーズの一話。全話スピルバーグの原案が元になっており、マーティン・スコセッシやクリント・イーストウッド、ロバート・ゼメキス、ピーター・ハイアムズ、ジョー・ダンテ、トビー・フーパー、マシュー・ロビンズ、ケヴィン・レイノルズ、ブラッド・バードなどなど、当時や後の人気監督を多数擁した豪華なテレビ・シリーズでしたが、内容は気の抜けたようなファンタジーが多く、そのヌルさゆえか視聴率が低迷して第2シーズンで打ち切られてしまいました。

 スピルバーグ自身は、各シーズンで1話ずつのエピソードを監督しており、本作はその最初の方。線路沿いに建つ田舎の一軒家を舞台に、歴史を知る老人が孫に予告する出来事、純真さゆえに老人の言葉を信じる孫、当然ながら取り合わない息子夫婦と、ファンタジーの王道をゆくベタな設定ですが、映像と音の力技でエンタメとして盛り上げてしまうという、良くも悪くも80年代のスピルバーグを体現するような短編です。

 テーマ自体、『未知との遭遇』や『E.T.』のヴァリエーションに見える所が、批評家に格好の攻撃ポイントを与えてしまった形で、『トワイライト・ゾーン』と同じ弱点がここにも散見されます。それと、作り手が尺の短さに応じきれていない印象もあり、スタティックな前半部のドラマが十分に描ききれない内、唐突にクライマックスへ突入するのは構成の座りが悪いです。いざ奇跡が起った時の息子夫婦のリアクション(特に母親の方)も、いかにも取って付けたような感じで(最初は過剰に取り乱し、突如家族三人で寄り集まって肩を組み、落ち着く)、何とも言えない違和感があります。

* スタッフ/キャスト

 撮影監督は、当時のスピルバーグ監督作を一手に担っていたアレン・ダヴィオーが担当。音楽は、番組のメイン・タイトルも手掛けたジョン・ウィリアムズで、テレビ作品とはいえスタッフ、キャスト共に、劇場映画と同等レヴェルの人材を揃えています。プロダクション・デザイナーのリック・カーターはシリーズの全エピソードを担当、その仕事ぶりが認められ、『ジュラシック・パーク』を皮切りにスピルバーグの監督作に何度も起用される事になりました。

 ゲスト俳優には、『スローターハウス5』『華麗なるギャッツビー』のロバーツ・ブロッサムと、『刑事ジョン・ブック/目撃者』でブレイクした子役ルーカス・ハースを起用。ブロッサムは『未知との遭遇』や『オールウェイズ』『フック』と、スピルバーグ作品に多数出演しています。

 

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