最後のミッション

 (テレビ・シリーズ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』の一話)

The Mission (Amazing Stories)

1987年、アメリカ (46分)

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ

       フランク・マーシャル、キャスリン・ケネディ

 製作:デヴィッド・E・ヴォーゲル

 共同製作:スティーヴ・スターキー

 脚本:メノ・メイエス

 (原案:スティーヴン・スピルバーグ)

 撮影監督 : ジョン・マクファーソン , A.S.C.

 プロダクション・デザイナー:リック・カーター

 編集:スティーヴン・ケンパー

 音楽:ジョン・ウィリアムズ

 出演: ケヴィン・コスナー  キーファー・サザーランド

     ケイシー・シマズコ  アンソニー・ラパグリア

* ストーリー 

 爆撃機による過去23回の出撃を全て無事生還したジョナサンは、仲間内でもラッキー・ボーイとして重宝されていた。ところが除隊前の最後のミッションで敵の攻撃を受けた彼は、機体下部の銃座に閉じ込められてしまう。絶体絶命となったジョナサンだったが…。

* コメント  

 同テレビ・シリーズ中に2作ある、スピルバーグ自身が監督したエピソードの一つ。当シリーズは本編25分枠の番組ですが、本作は46分の長尺で、3話のオムニバスとして劇場公開もされました(他の2話はウィリアム・ディア監督の『パパはミイラ』と、同じく46分のロバート・ゼメキス監督『真夜中の呪文』)。スピルバーグが監督した回としては、叙情的な主題ながら突飛さが目立った『ゴースト・トレイン』より、ずっとクオリティの高い出来映えです。

 ほとんどが機中で展開する密室劇ですが、地上の描写も印象的。特に冒頭の4分間、霧のロンドン空港の場面は長回しのワンカットで撮影されていて、兵員達が押し隠した出撃前の微妙な緊張感を見事に表現。暖色系のライティングと立体感のある逆光効果を使った美しい映像ルックと共に、テレビ映画のスケールを越えた迫力を感じさせます。悪く言えばいかにもスタジオ撮影というリアリティを欠く映像でもありますが、実はファンタジーでもある本作の内容からすると、不思議な出来事が起こりうる世界を先にお膳立てしているとも言えます。機内の描写はスピーディで迫力満点。長い移動ショットなど、映像的に凝った描写もスピルバーグらしいものです。

* スタッフ/キャスト

 脚本のメノ・メイエスは『カラー・パープル』のライターですが、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でも原案を担当している他、多くのスピルバーグ作品に脚本協力をしていると言われています。撮影は、当シリーズで多数のエピソードを受け持ったジョン・マクファーソンで、スピルバーグ監督作はこれ1作のみ。後の活躍もあまり聞きません。  

 シリーズ前作を担当したプロダクション・デザイナーのリック・カーターは、戦闘機内を撮影するに当たって、ヴォルフガング・ペーターゼン監督の『Uボート』における潜水艦の内部を参考にしたといいます。狭くて奥行きの長いセットですが、その通路を通り抜けてゆくキャメラ・ワークが逆に臨場感を煽って効果的です。音楽はジョン・ウィリアムズ。

 ゲスト俳優には、当時人気上昇中だったケヴィン・コスナーとキーファー・サザーランドを起用しており、若手中心の役者のアンサンブルも緊迫感たっぷりです。

 

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