インディ・ジョーンズ/最後の聖戦

Indiana Jones and the Last Crusade

1989年、アメリカ (127分)

         

 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 製作総指揮:ジョージ・ルーカス、フランク・マーシャル

 製作:ロバート・ワッツ

 共同製作:アーサー・レポラ

 脚本:ジェフリー・ボーム

 (原案:ジョージ・ルーカス、メノ・メイエス)

 撮影監督 : ダグラス・スローカム

 プロダクション・デザイナー:エリオット・スコット

 衣装デザイナー:アンソニー・パウエル

 編集:マイケル・カーン

 音楽:ジョン・ウィリアムズ

 第1助監督:デヴィッド・トンブリン (U.K.)

 第3助監督:アダム・ソムナー (セカンド・ユニット、ロンドン)

 プロダクション・マネージャー:イアン・ブライス (U.S.)

                ジョーン・ブラッドショー (U.S.)

 プロダクション・コーディネーター:ラタ・ライアン (U.S.)

 追加撮影: ポール・ビーソン B.S.C.

       ロバート・スティーヴンス (U.S.)

 プロダクション・イラストレーター:エド・ヴェロウ

 衣装デザイン助手:ジョアンナ・ジョンストン

 共同編集:コリン・ウィルソン

 音響デザイン: ベン・バート

 特別協力:ボーン・ラドフォード、マーティン・コーエン

 出演ハリソン・フォード  ショーン・コネリー

    アリソン・ドゥーディ  デンホルム・エリオット

    リヴァー・フェニックス  ジュリアン・グローヴァー

    テッド・グロスマン

* ストーリー 

 1938年、13歳の時から探し続けているコロナードの十字架の探索旅行から帰ったインディは、ニューヨークの大学で講義をした帰り、突然現れた男達に車に乗せられる。連れていかれた先は、考古学博物館のスポンサーでもある大富豪、ドノヴァンのペントハウス。そこでインディは、聖杯の隠し場所の手がかりを示した石版を見せられる。キリストが最後の晩餐に使い、その血を帯びたとされる聖杯は、十字軍や円卓の騎士たちも探し続けたもので、まだ見つかっていない。ドノヴァンが出資している調査は、責任者が失踪して頓挫しているが、その人物がインディの父だと聞かされ、彼は調査を引き受ける。

* コメント   

 かなりの不評を買った二作目とは違い、意外に高く評価され、興行的にも成功した三部作完結編。1作目はユダヤ教、2作目はヒンドゥー教と関わった当シリーズですが、大方の予想通り、本作ではキリスト教の聖杯にまつわるレイダー(宝探し)達の物語が描かれます。当初の予定では、インディと父親が聖杯を守る騎士となり、シリーズの環が閉じられる予定だったといいますが、結局はスタジオの圧力に屈して続編の可能性が残されました(その結果、19年後に珍妙な4作目が製作される事になる訳です)。

 少年時代のインディや、彼の父親が登場し、それぞれをリヴァー・フェニックス、ショーン・コネリーという話題性の強い俳優が演じるなど、どこかお祭りイベント的なムードの漂う企画で、それらは確かに楽しいサプライズと言えなくもありません。テイストをヨーロッパ調に戻し、ナチス(今回はヒットラーも)と1作目のサブ・キャラクター2人(マーカスとサラー)を復活させた点も、シリーズのあり方としてはバランスの取れた軌道修正に思えます。シニアの登場によってコメディ色が強くなった点は好みを分つかもしれませんが、その分ドラマ重視で、大人っぽいテイストになったとも言えます。

 しかし映画の後半は、過去作品のハイライトをなぞるような雰囲気があり、子供版インディ・ジョーンズと言える『グーニーズ』も含め、過去作の自己模倣というと言い過ぎかもしれませんが、作品のイメージだけが独り歩きして形骸化したような印象も否めないものです。特に顕著なのは、シリーズ定番とも言えるクライマックスの対決場面。ここは設定も演出もほとんどセルフ・パロディみたいで、インディ・シリーズ最新作というより、シリーズに影響を受けた亜流作品を観るかのよう。ジョン・ウィリアムズの音楽も、前二作のインパクトと高揚感を欠きます(オスカーにノミネートされてますけど)。

 又、個々のシーンの面白さに比して、ストーリーとしては今、何が起っているのか分かりにくい場面も多く、再び登場するナチスも1作目と較べるとやや戯画化されています。演出自体も生気に乏しい感じがあり、戦車を使ったアクション・シークエンスなど、何度観ても私には非常に冗長と感じられます。何というか、映画的インスピレーションに欠けるという感じでしょうか。要は、映像の律動感とダイナミズムにおいて、本作はやや一本調子に感じられるわけです(同じ事が次作『オールウェイズ』にも言えます)。全体で127分もありますから、前二作同様、二時間以内の尺に収めるべきだったのかもしれません。

 勿論、見どころはあちこちにあって、オープニングは(007シリーズで観たような既視感はあるものの)疾走感満点のアクションになっているし、ヴェニスのシーンもやはり007映画のような雰囲気で、美しい風景とスリリングなアクションの対比が痛快。又、嵐の海のシーンは、画面のデッサンに独特の凄味があります。インディと父のやり取りもなかなか楽しいものだし、女性キャラクターに存在感がないのもスピルバーグ映画の常で、今さら批判するには当たりません。インディが蛇を嫌う理由やムチを使うきっかけなど、種明かし的な場面が入るのもハリウッド流エンタメの王道。本作が三部作で一番好きだというファンも多いようなので、結局は好みの問題なのでしょう。

* スタッフ

 ストーリーは、ルーカスと『カラー・パープル』『最後のミッション』の脚本家メノ・メイエスによるもので、『インナー・スペース』の脚本でスピルバーグを感心させたジェフリー・ボームがこれをシナリオ化します。少年時代と大人に成長したインディを観客にアピールした上でシニアを登場させるため、脚本は何度も書き直しを迫られますが、ボームは二つ目のオープニング(少年時代に盗まれた金の十字架を取り返すエピソード)を加える事でこれを解決しました。

 しかし今度は、シニアの出番が削減されている事にショーン・コネリーが不満を漏らし、『太陽の帝国』のトム・ストッパードが呼ばれて匿名でリライトに当たります。彼はキャラクターを強化した上、かつて幼い息子を置いて冒険に出た父をインディが責める場面など幾つかのシーンを追加し、エルザをめぐる父子間のライバル関係も強調されました。

 製作陣はルーカスにロバート・ワッツ、フランク・マーシャルとシリーズ共通ですが、キャスリン・ケネディが参加していないのは自身が社長を務めるアンブリン製作の企画が目白押しだったからでしょうか。プロダクション・マネージャー、プロダクション・コーディネーターには、その後スピルバーグやゼメキスの作品でプロデューサーを務めてゆくイアン・ブライス、ジョーン・ブラッドショー、ラタ・ライアンといった有能な人材を配置。同じく後年に製作者として大活躍するコリン・ウィルソンが、ここでも共同編集者として参加しています。

 撮影のダグラス・スローカム、プロダクション・デザイナーのエリオット・スコットも前作から続投。ロケーションは「ノルマンディー上陸作戦のようだった」と形容されるほど大規模で、まずスペインのアルメリア、馬と戦車の場面からスタートし、マヨルカ島の長らく放置された飛行場でナチスの戦闘機などを撮影。グラナダではグアジス駅を中東の町イスケンデルンに見立て、汽車のシークエンスも撮影しています。

 次に英国へ移り、数々の名作が撮影されながら閉鎖が決定したエルストリー・スタジオ(スピルバーグが購入して映画のテーマパークにしようとするも、地元議会から環境破壊を理由に反対されて断念)とエセックス、バッキンガムシャーで撮影を行った後、イタリアに移動してヴェニスのサンマルコ広場、ドウジェ宮でロケを敢行、その週末にはヨルダンへ飛び、許可が下りたペトラ遺跡で撮影。シリーズ共通の、パラマウント山から実物の山にフェイド・インするオープニングは、アメリカ国内のモニュメント・ヴァレーで撮影されています。

* キャスト

 何といってもスター俳優、リヴァー・フェニックスとショーン・コネリーの出演が目玉でしたが、後は通常のスピルバーグ映画と同様、マイナーな俳優ばかりを起用。ヒロインのアリソン・ドゥーディは、本作が本格デビューに当たりますが、その後もあまり活躍の話を聞きません。インディの敵役ジュリアン・グローヴァーは、名脇役として多くの映画に出演経験があり、ルーカス作品では『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』にも出ていますが、こういうタイプの映画では悪役として強い個性に乏しく、あまり印象に残りません。

 1作目に出ていたインディの相棒達が復活した事で、デンホルム・エリオットとジョン=リス・デイヴィスも再び登板。ただ、キャラクター自体は物語に必要不可欠というほどでもなく、俳優としても、他の映画で彼らの活躍を見る機会に恵まれないのは残念な所。当時のスピルバーグは、俳優の扱い方が下手などとよく揶揄されていましたが、スピルバーグ作品の後にブレイクする俳優が実際に少ない事を考えると、それも当たらずとも遠からずという気がしないでもありませんね。スピルバーグ映画常連脇役のテッド・グロスマンも、副保安官役で出演。

* アカデミー賞

◎受賞/音響効果編集賞

◎ノミネート/作曲賞、音響賞

 

Home  Back