キャメロン・クロウの映画を支えるスタッフ、キャスト達

 複数のクロウ作品に参加している人々を追ってみましょう。

《プロデューサー》

◎ジェームズ・L・ブルックス

 『セイ・エニシング』『ザ・エージェント』

 デビュー作『愛と追憶の日々』でいきなりアカデミー賞11部門にノミネート、5部門で受賞した才人。二作目の『ブロードキャスト・ニュース』も高い評価を受け、『恋愛小説家』でもアカデミー賞6部門ノミネート、2部門受賞。他に『ビッグ』や『ローズ家の戦争』などもプロデュース。『セイ・エニシング』は彼の構想を、キャメロン・クロウがシナリオに発展させたものです。

◎リサ・スチュワート

 『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』

『シングルス』にクロウの助手として参加。『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』で共同製作を担当。

◎ポーラ・ワグナー

 『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』

 最初は女優としてオフ・ブロードウェイの舞台に立ち、劇作家として執筆活動も行う。その後CAAに15年在籍し、業界トップのタレント・エージェントとして活躍。そこで知り合ったトム・クルーズと93年、クルーズ・ワグナー・プロダクションを設立。クルーズ主演作をはじめ、様々な映画、テレビ番組の制作に関わる。『エリザベスタウン』にはクルーズは出演していませんが、共同で製作に当たっています。

 数々のメガヒット作を世に送り出しただけでなく、近年は自身の出身校カーネギー・メロン大学の評議委員を務め、ハーバード・スクール・オブ・ビジネスやスタンフォード大等で講義やセミナーを持つなど、バリバリのビジネスウーマンという印象。

◎ドナルド・J・リー, Jr

 『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』

 コーネル大学卒業後、映画製作助手として『ウォール街』などに参加。監督助手の時に『めぐり逢えたら』で出会ったノーラ・エフロン監督とはその後もプロデューサーとして組み、『マイケル』『ユー・ガット・メール』『ラッキー・ナンバー』とコンビを続ける。

《助監督》

◎ジェリー・ジースマー

 『セイ・エニシング』『シングルス』『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』

 初期のクロウ作品を第1助監督の立場で支え続けた人。『あの頃ペニー・レインと』では共同製作者にもクレジットされました。スピルバーグの『1941』やコッポラ作品でも助監督を務めています。小さな役で出演も続けており、『セイ・エニシング』では弁護士役、『シングルス』でもチョイ役、『ザ・エージェント』ではトレイナーの役で出ています。彼の映画出演では忘れてはならないのが、『地獄の黙示録』。「極度の偏見をもって抹殺せよ」という最も有名なセリフを言う民間人を演じています。

《撮影監督》

◎ジョン・トール

 『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』

 映像の美しさには定評があり、『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』と『ブレイブハート』で、二度に渡ってアカデミー賞を受賞。テレンス・マリック監督の『シン・レッド・ライン』でもノミネートされました。フランシス・コッポラ監督とも『ジャック』『レインメーカー』で組んでいます。『ラスト・サムライ』では渡辺謙など複数の日本人キャストが、撮影現場で最も活躍している人物としてトールの名前を挙げていたのが印象的でした。

 

《プロダクション・デザイナー》

◎クレイ・A・グリフィス

 『あの頃ペニー・レインと』『エリザベスタウン』『幸せのキセキ』

 『セイ・エニシング』でクロウの助手に付き、『シングルス』『ザ・エージェント』でセット・デコレーター、『あの頃ペニー・レインと』で美術監督、『エリザベスタウン』でプロダクション・デザインを担当。他の監督作品では、セット・デコレーターとして『めぐり逢えたら』『セブン』『恋愛小説家』、プロダクション・デザイナーとして『私は「うつ依存症」の女』『メラニーは行く!』『ラッキー・ユー』などがあります。

 

《編集》

◎ジョー・ハットシング

 『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』

 クロウ監督の信望厚いエディターで、『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』はオスカーにノミネート。ジョン・ウーからスパイク・ジョーンズまで様々なタイプの監督と仕事をしていますが、特にオリヴァー・ストーンとは多くの作品で組んでいて、『7月4日に生まれて』と『JFK』ではアカデミー賞を受賞。

◎デヴィッド・モリッツ

 『ザ・エージェント』『エリザベスタウン』

 編集助手として『ディック・トレーシー』や『花嫁のパパ』に参加。『スリープ・ウィズ・ミー』で編集者として一本立ち。『ライフ・アクアティック』など、ウェス・アンダーソン監督とのコンビで知られます。クロウとは『ザ・エージェント』に共同編集者として参加したのが初仕事。

◎マーク・リヴォルシ

 『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』『幸せのキセキ』

 『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』の追加編集を担当し、『あの頃ペニー・レインと』にもアシスタントとして編集に参加。他の監督の作品では、『ウェディング・クラッシャーズ』と『プラダを着た悪魔』でアメリカ映画編集者協会のエディ賞にノミネート。他に『エイプリルの七面鳥』『ブラザーサンタ』『マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと』『しあわせの隠れ場所』など。ウディ・アレン作品にも助手として参加しています。

《音楽》

◎ナンシー・ウィルソン

 『セイ・エニシング』『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』『エリザベスタウン』

 サンフランシスコ出身。8歳でギターを弾き始め、74年に姉のアンとロック・バンド、ハートを結成。これまで全米トップ40に20曲以上のヒット曲を送り込んでいる。私生活ではキャメロン・クロウ夫人。『セイ・エニシング』で追加スコアを作曲、『ザ・エージェント』以降『エリザベスタウン』までのクロウ作品で音楽を担当。

 『あの頃ペニー・レインと』のDVD特典映像で見る彼女は、ハート時代の雰囲気と違って、いかにもクロウ好みのチャーミングな自然体の女性という印象。発言もまるで歌詞のように表現力豊かです。曰く「『初体験リッジモント・ハイ』を書き上げた頃、キャメロンは貧しく、私はスターだった。冷蔵庫にはカビたパンとサルサ・ソースしかない独身男。それでも私たちは恋に落ち、いまだに冷めない」。

◎ダニー・ブラムソン

 『セイ・エニシング』『シングルス』『ザ・エージェント』『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』

 音楽スーパーヴァイザーとして選曲をアソシエイト。音楽に並々ならぬこだわりを見せるクロウ監督とはデビュー作からずっと組んでおり、豪華ミュージシャンが多数参加するサントラをヒットさせてきました。『バニラ・スカイ』では製作総指揮にも名を連ねています。ワーナー・ブラザース・レコードのサントラ開発部取締役バイス・プレジデント。。

《キャスト》

◎エリック・ストルツ

 『セイ・エニシング』『シングルス』『ザ・エージェント』

 クロウが脚本を担当した『初体験/リッジモント・ハイ』でデビュー。84年の『マスク』で注目される。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で当初主役に抜擢されながら、撮影前にマイケル・J・フォックスに交替させられた話は有名。そのせいで華を失った印象もありますが、テレビ映画を中心に数えきれないほどの出演作が続いています。クロウ作品では、『セイ・エニシング』にチョイ役で出たのを皮切りに、『シングルス』ではパントマイムの役者、『ザ・エージェント』では独身さよならパーティーの会場オーナーで出演。

◎トム・クルーズ

 『ザ・エージェント』『バニラ・スカイ』

 81年、『エンドレス・ラブ』の端役でデビュー、『卒業白書』『トップガン』でスターダムへ。一流監督との仕事で常に話題を呼ぶ俳優ですが、93年にタレント・エージェントのポーラ・ワグナーとクルーズ・ワグナー・プロダクションを設立、自らの主演作を始め、数々の作品を大ヒットに導き、製作者としての手腕も発揮しています。主演以外はまずやらない、掛け値なしのスター俳優。クロウとは『ザ・エージェント』で主演俳優として出会い、ポーラ・ワグナーと共に製作した『バニラ・スカイ』でも主演しています。出演はしていませんが、『エリザベスタウン』もワグナーと共にプロデュース。

◎ジェイソン・リー

 『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』

 ケヴィン・スミス監督の『モール・ラッツ』でデビュー。同監督とは『チェイシング・エイミー』『ドグマ』でも再度組んでいます。他にジョナサン・デミ監督『エネミー・オブ・アメリカ』、バリー・ソネンフェルド監督『ビッグ・トラブル』など。。『あの頃ペニー・レインと』ではバンドのヴォーカリストを演じ、音楽経験がないにも関わらず、見事にロック・ヴォーカリストになりきりました。『バニラ・スカイ』では一転して、主人公の親友を繊細な芝居で演じています。

◎ノア・テイラー

 『あの頃ペニー・レインと』『バニラ・スカイ』

 オーストラリア出身。『シャイン』で天才ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの青春時代を演じて、様々な賞にノミネートされました。特徴的な風貌ですが、『トゥームレイダー』シリーズのブライスや、『チャーリーとチョコレート工場』のお父さんなど、案外くだけた普通の人の役が多い印象。『あの頃ペニー・レインと』ではバンドのマネージャー、『バニラ・スカイ』では謎の男を演じています。

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