リヴァー・フェニックスは本作の公開当時、既に若くして大スターでしたが、イメージを覆す役柄に挑戦した本作は代表作の一つとなりました。しかし企画が持ち込まれた当初は難色を示し、出演を決意するまでに一か月を要したそうです。内面が複雑な割に口数の少ないキャラクターなので、図抜けた演技力とルックスを持ち合わせる彼でなければ、リアリティを獲得できなかったかもしれませんね。 逆に、キアヌ・リーヴスはまだスターになる前の出演。既に『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』でリバー・フェニックスと共演していて、私生活でも兄弟の契りを交わすほどの大親友だったとの事。リヴァーは、「キアヌ以外とだったら、この映画には出演しなかった」とまで語っています。こちらも、二面性を見せる複雑な役柄ですが、端正なルックスにも関わらずヒーローも悪役も見事に演じられるキアヌだけあって、素晴らしい表現力で作品を支えています。サント作品では、『カウガール・ブルース』にも出演。 シアトルのゲイ・グループのリーダーを、ユーモラスかつ痛々しく演じているのは、ウィリアム・リチャート。彼は、リバー・フェニックス主演の『ジミー/さよならのキスもしてれくれない』で原作、脚本、監督を務めた人物です。主人公の兄を演じるのは、『コットンクラブ』『ビバリーヒルズ・コップ』などの実力派バイプレイヤー、ジェームズ・ルッソ。ダリオ・アルジェントやニール・ジョーダン、ブライアン・デ・パルマ、ロマン・ポランスキーと、アクの強い個性派監督に起用される事が多い役者さんです。 ローマのシーンに登場するキアラ・カゼッリは、アントニオーニの『愛のめぐりあい』、タヴィアーニ兄弟の『フィオリーレ/花月の伝説』、アルジェントの『スリープレス』など、イタリアの有名監督の映画ではよく目にする女優ですが、アメリカ映画は初出演だったそうです。男娼客のウド・キアーも、欧米の映画では度々目にする名俳優。彼がホテルの部屋でランプを使ってパフォーマンスをする場面は出色で、顔を下から照らすライトによって、正にドイツ表現主義的な画になっている所は、パロディ精神なのか偶然なのか。 ゲイのグループの中にレッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーがいる他、イタリア人のチケット販売員役でジェームズ(ジム)・カヴィーゼルがデビューしています。彼はこれが初オーディションだったそうですが、後にテレンス・マリック監督の『シン・レッド・ライン』で脚光を浴び、『G.I.ジェーン』『オーロラの彼方へ』『モンテ・クリスト伯』など主役級のキャスティングが連続。『パッション』ではイエス・キリストを演じるなど、大成しました。サントの古い友人スコット・パトリック・グリーンは、カヴァーボーイの一人とカフェ・キッズの一人で出演し、監督の助手とスチール撮影も務めています。 |