『アメリ』のクローディー・オサールが製作した、パリの18の地区で世界各国の映画監督と俳優達が各5分間の短編を繋いでゆくオムニバス、『パリ、ジュテーム』の一話。『アメリ』が素晴らしい体験だったため、もう映画製作はしないと考えていた彼女の元に、『ラン・ローラ・ラン』『パフューム』のトム・ティクヴァ監督が短篇を持ち込んだのが始まりで、これをパイロット版としてあちこちにプレゼン。最初に手を上げたコーエン兄弟篇(偶然かどうか、『アメリ』の撮影監督を起用しています)を皮切りに、オリヴィエ・アサイヤス、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウォルター・サレス、諏訪敦彦、ウェス・クレイヴン、アレクサンダー・ペイン等、ユニークな面々が集結しました。 サントはやや長めの6分に仕上げていますが、それでもほんの一瞬で終ってしまう感じ。室内で言葉の通じない若者二人のやりとりがあって、その後、通りに出たマッコネルが町を疾走する映像に音楽が被さるという、長めのCMみたいなスタイリッシュな質感です。あまり説明的でない所と、最後の急展開が爽やかで、それも観る人によって自由に解釈できる感じは、いかにもサント作品といった所でしょうか。 マレ地区は、ブティックや現代アートのギャラリーが多いだけでなく、パリで最もゲイが多い地区との事で、その両方を脚本に盛り込んで、過去のサント作品とも通底する作品になっているのはさすが。又、ガスパールがカート・コバーンに言及するなど、前作『ラストデイズ』への目配せもあり。最後にエリが走り抜けるのは、パリで最も美しいと称されるヴォージュ広場です。 |